Press release
Japan
November 20, 2012

2012年第3四半期(2012年1月1日~9月30日) 業績発表

業績は引き続き好調 — 景気減速も、依然堅調を維持


 クラウス・エンゲル取締役会会長 「厳しい業況ながらも依然堅調を維持」
 2012年第3四半期(累計)の業績は好調
  ○ 売上高は104億ユーロと、既存事業はほぼ安定的に推移。カーボンブラック事業の投資引上げ等により前年比8パーセント減
  ○ 調整後の金利・税金・償却前利益(EBITDA)および調整後の金利税引前利益(EBIT)は、それぞれ20億9,700万ユーロ、16億1,700万ユーロと、非常に高い水準を維持。
  ○ 調整後のEBITDAマージンは20.2パーセントと、小幅改善。
 純利益は前年比3パーセント増の88億800万ユーロを計上。
 設備投資は37パーセント増 — シンガポールの新施設着工を記念する鍬入れ式を開催。スペシャリティケミカルとしては過去最大の単独投資。
 2012年度の通期見通し を確認 ― 売上高は微増、営業成績は2011年の高水準と同等、または2011年をやや上回る見込み。

エボニック インダストリーズ(ドイツ・エッセン)は本日、2012年第3四半期および第3四半期累計期間の業績発表を行いました。クラウス・エンゲル取締役会会長は、「業況は厳しいものの、エボニックは依然好調な業績を維持しています」と述べています。2011年7月に投資を引き上げたカーボンブラック事業の影響に対する調整後、2012年第3四半期累計期間末時点の売上高および営業損益はともに、過去最高レベルを記録した2011年第3四半期累計期間の数値とほぼ同水準となりました。しかし、世界経済の枠組みは厳しい課題に直面しており、今夏以降、欧州を中心に需要は減退しています。「こうした環境下にもかかわらず、スペシャリティケミカル事業については依然楽観視しています」とエンゲル会長。2012年春にスタートさせたOn Track 2.0効率性向上プログラムは第3四半期末現在、順調に進捗しています。「年間約5億ユーロのコスト削減を2016年末まで継続的に達成するとの目標に向けて、今後も組織的に取り組んでいきます。弊社の積極的な成長目標と、厳しいコスト管理および効率性のさらなる改善の組み合わせは、いわばコインの表と裏となります」とエンゲルは強調しています。

2012年第3四半期(累計)の業績

2012年第2四半期末にかけて、欧州を中心に需要の鈍化が見られるも、2012年第3四半期(累計)も好業績となりました。

売上高は103億5,600万ユーロとなり、既存事業売上高はほぼ安定的に推移しました。販売数量は2ポイント下落したものの、販売価格の上昇(+1ポイント)により一部相殺されました。総売上高は、為替相場の好影響(+2ポイント)があったものの、カーボンブラック事業の連結免除等その他の影響により9ポイント減少し、前年同期比8パーセント減少しました(2011年第3四半期累計:112億1,000万ユーロ)。

調整後EBITDAは20億9,700万ユーロと、カーボンブラック事業による収益への寄与があった2011年第3四半期(累計)(22億4,600万ユーロ)から7パーセント減少しました。調整後EBITDAマージンは20.2パーセントと、2011年第3四半期(累計)(20.0パーセント)に記録した高水準をわずかながら上回りました。一方、調整後EBITは8パーセント減少し、16億1,700万ユーロとなりました(2011年第3四半期(累計):17億5,200万ユーロ)。

調整合計額は、太陽光発電市場の競争激化に対応する事業再編等により-2,500万ユーロとなりました。継続事業の税引前利益は13億2,700万ユーロと、ほぼ前年並みとなりました(2011年第3四半期累計:13億4,500万ユーロ)。非継続事業の税引前利益は、前期までに売却した非中核事業の投資引上げ後の収入等により、1, 600万ユーロとなりました。純利益は、前年同期比3パーセント増加し、8億8,800万ユーロとなりました(2011年第3四半期累計:8億6,300万ユーロ)。営業外の影響調整後の純利益は9億4,600万ユーロとなり、カーボンブラック事業による収益への寄与があった2011年第3四半期累計(10億8,900万ユーロ)に比べ13パーセント減少しました。

継続事業の営業活動によるキャッシュフローは、正味運転資本の伸び率鈍化等により7,500万ユーロ増加し、9億9,400万ユーロとなりました。設備投資は前年同期比37パーセント増加し、6億7,500万ユーロとなりました(2011年第3四半期(累計):4億9,400万ユーロ)。純金融負債は、投資拡大等により2011年末から1億4,700万ユーロ増加し、9億9,000万ユーロとなりました。

成長プロジェクトは急速に進捗

2012年第3四半期(累計期間)、エボニックは積極的な成長戦略を迅速に推し進めました。アジアにおける売上高は、2016年をめどに40億ユーロに引き上げる計画です。この目標を実現するため、今年度は億ユーロ単位の各種投資プロジェクトを立ち上げました。最大の投資プロジェクトは、飼料添加物DL-メチオニン用に世界最大級の施設をシンガポールに建設するものです。2012年8月、エボニックによるスペシャリティケミカルの単独投資としては過去最大の建設費5億ユーロ超となる当プロジェクトの鍬入れ式を開催しました。さらに、鍬入れ式は、新たに過酸化水素工場およびイソホロン生産施設を建設する中国、および「POLYVEST® HT」の製品名で販売予定の液状ポリブタジエンを生産する工場を建設するマール(ドイツ)でも行われました。エボニックが米国アラバマ州モービルに有する拠点では、メタクリル酸メチル(MMA)の生産施設の基本設計を開始しました。2015年以降、同拠点で開始するMMAの生産では、高効率で全く新しい環境対応型のプロセスを採用する予定です。南米における売上高については、2016年までに10億ユーロ超水準への引き上げを目指します。すでに約2億ユーロをブラジルおよびアルゼンチンの新工場向けに予算計上しました。これらの新工場では、化粧品の出発原料、バイオディーゼル向け触媒、アミノ酸飼料添加物「Biolys®」の生産を行う予定です。バイオテクノロジーはエボニックの成長の牽引役の一つです。「Biolys®」は発酵により、すなわちバイオテクノロジーのプロセスを使用して、生産されます。同製品については、米ネブラスカ州ブレアの生産能力を増強しており、2012年度中に生産を開始する予定です。バイオテクノロジーの技術を使用して製造した製品の売上は、ヘルス&ニュートリション部門単独でも2020年までに10億ユーロに達する見通しです。

2012年第3四半期の営業損益は高水準を維持

2012年第3四半期のエボニック グループの業績は、欧州を中心とする需要の低迷が第2四半期末に記録され、その後も軟調に推移したにもかかわらず、好調を維持しました。2011年7月に投資を引上げたカーボンブラック事業調整後の売上高および営業損益の実績は、ともに高水準となった前年をわずかながら下回りました。

2012年第3四半期のグループの売上高は、カーボンブラック事業の連結免除等により6パーセント減少し、34億2,100万ユーロとなりました(2011年第3四半期:36億3,300万ユーロ)。既存事業売上高は前年同期比2パーセント減少しました。販売数量はわずかに減少(-2ポイント)しましたが、販売価格は安定的に推移しました。調整後EBITDAは2パーセント減少し、7億3,100万ユーロとなりました(2011年第3四半期:7億4,900万ユーロ)。調整後EBITDAマージンは21.4パーセントと、極めて高水準となりました(2011年第3四半期:20.6パーセント)。調整後EBITは3パーセント減少し、5億6,800万ユーロとなりました(2011年第3四半期:5億8,800万ユーロ)。純利益は5パーセント増加し、3億5,500万ユーロとなりました(2011年第3四半期:3億3,800万ユーロ)。営業外の影響調整後の純利益は6パーセント増加し、3億4,400万ユーロとなりました(2011年第3四半期:3億2,400万ユーロ)。


2012年第3四半期(累計)の各事業部門の業績

コンシューマー、ヘルス&ニュートリション部門

コンシューマー、ヘルス&ニュートリション部門は、消費財、動物栄養、医薬品セクター用途のスペシャリティケミカルを生産しています。この部門は、コンシューマースペシャリティビジネスユニットとヘルス&ニュートリションビジネスユニットから構成されます。

コンシューマー、ヘルス&ニュートリション部門の既存事業売上高は、販売数量の伸長により増加しました。売上高は、為替相場の若干の好影響と2011年5月に買収したハンゼ ヒェミー グループの全部連結により、5パーセント増加し、31億6,500万ユーロとなりました。全体的に好調な生産数量を背景に、営業損益は高水準を記録した2011年第3四半期累計の業績をさらに上回りました。調整後EBITDAは2パーセント増加し、8億2,200万ユーロとなり(2011年第3四半期累計:8億800万ユーロ)、調整後EBITは2パーセント増加し、7億2,800万ユーロとなりました(2011年第3四半期累計:7億1,500万ユーロ)。調整後EBITDAマージンは、26.7パーセントと高水準を記録した前年の水準をわずかに下回り、26.0パーセントとなりました。

エネルギー効率化部門

エネルギー効率化部門は、環境にやさしく高エネルギー効率の製品に対応するソリューションを提供しています。当部門はインオーガニックマテリアルズ ビジネスユニットとコーティング&アディティブス ビジネスユニットから構成されます。

当部門の売上高は、2011年7月末のカーボンブラック事業および2012年4月末の着色料事業からの投資引上げ等により前年同期比26パーセント減少し、24億4,000万ユーロとなりました(2011年第3四半期累計:33億400万ユーロ)。なお、為替相場の好影響はプラス要因となりました。既存事業売上高は前年同期をわずかながら下回りました。欧州を中心とする需要の減少は、販売価格の上昇によりほぼ相殺されました。営業損益は、カーボンブラック事業の非連結化による収益の減少および需要の微減等により、減少しました。部門全体では、調整後EBITDAは17パーセント減少し、5億4,000万ユーロとなり(2011年第3四半期累計:6億4,900万ユーロ)、調整後EBITは19パーセン減少し、4億3,200万ユーロとなりました(2011年第3四半期(累計):5億3,500万ユーロ)。調整後EBITDAマージンは22.1パーセントと、2011年第3四半期(累計)の19.6パーセントから上昇しました。

スペシャリティマテリアル部門

スペシャリティマテリアル部門は、ポリマー材料とその半製品、添加剤の生産がその中核を占めています。当部門は、パフォーマンスポリマー ビジネスユニットとアドバンスト・インターミディエイト ビジネスユニットから構成されます。

スペシャリティマテリアル部門の売上高は37億2,000万ユーロと、2011年第3四半期第3四半期累計期間(37億5,500万ユーロ)に比べ1パーセント減少しました。既存事業売上高の減少は、為替相場の好影響によりほぼ相殺されました。2012年3月末にマールCDT工場で発生した火災と欧州を中心とする需要の低減が相俟って生産高が減少した結果、数量ベースの縮小を記録することとなりました。一方、販売価格はわずかながら上昇しました。営業損益は、需要減退等により、高水準を記録した前年同期を下回りました。これに対し、火災後の生産高減少に起因する収益減少の相当部分は、保険払戻額により相殺されました。

調整後EBITDAは、9パーセント減少し、6億7,100万ユーロとなり(2011年第3四半期累計:7億3,900万ユーロ)、調整後EBITは、10パーセント減少し、5億5,700万ユーロとなりました(2011年第3四半期累計:6億2,100万ユーロ)。その結果、2012年第3四半期累計期間の調整後EBITDAマージンは、2011年第3四半期累計期間の19. 7パーセントから、18.0パーセントに低下しました。

サービス部門

サービス部門は、主にスペシャリティケミカル部門およびコーポレートセンター向けに本部管理業務を行っています。基本的にケミカル事業の内部サービスを担当していますが、わずかながら社外にもサービスを提供しています。

サービス部門の総売上高は、19億9,600万ユーロとなりました。うち12億6,700万ユーロを内販が占めています。外販は3パーセント増加し、7億2,900万ユーロとなりました。調整後EBITDAは16パーセント増加し、1億4,400万ユーロとなり、調整後EBITは19パーセント増加し、7,500万ユーロとなりました。

不動産部門

不動産部門は、エボニックが中期的に完全撤退を計画している分野であり、主にドイツのノルトライン・ウェストファーレン連邦州で一般世帯に住宅を賃貸しています。

2012年1月1日以降、不動産部門が保有する不動産の運営管理は、エボニックとTHS社が共同して設立した合弁会社であるヴィヴァウェスト・ヴォーネン社に委託されています。その結果、これまで不動産部門が計上していた売上の一部が連結対象から除外されました。2012年年初から、当該売上は自己資本として認識されたヴィヴァウェスト・ヴォーネン合弁会社の売上に計上されているため、当部門の売上から除外されております。これによる営業損益への重大な影響はありません。

このため売上高は、前年同期比約50パーセント減少し、1億5,400万ユーロとなりました。営業損益は、THS社の自己資本利益における繰延税金資産の再評価による2,000万ユーロの一時的費用計上の影響により押し上げられた前年を下回りました。その結果、調整後EBITDAは19パーセント減少し、1億3,400万ユーロとなり(2011年第3四半期累計:1億6,500万ユーロ)、調整後EBITは23パーセント減少し、9,900万ユーロとなりました(2011年第3四半期累計:1億2,900万ユーロ)。

2012年通期業績の見通し

2012年の通期見通しを評価するにあたり、2011年7月末に投資引上げするまで、エボニックの2011年の決算報告書にカーボンブラック事業が含まれていたことを特記しなければなりません。比較可能性を高めるため、エボニックの通期見通しは、カーボンブラック事業を除いた数字に基づいています。

第4四半期の世界経済は、成長率の鈍化傾向が続くと予想されます。今後、欧州ソブリン債危機の関連リスクは、引き続き欧州の景気全般に悪影響を与える可能性があります。さらに、一部の新興市場では、成長見通しに陰りが出ています。全体的に見て、世界の経済成長は2011年を下回ると予想されます。

このようにリスクは拡大しているものの、エボニックは依然としてスペシャリティケミカル事業の見通しを楽観視しています。エボニックグループはOn Track 2.0効率性向上プログラムの下でスタートした対策を実施し、原価管理を進め、成長目標に向かって組織的な取り組みを継続します。全体的に見て、2012年度の売上はわずかながら増加すると予想されます。また、営業損益は、高水準を記録した2011年と同程度、または2011年をやや上回ると予想されます。