コラーゲン三重らせん構造のイメージ
コラーゲン三重らせん構造のイメージ
Press release
Health Care
March 27, 2020

バイオ業界におけるブレイクスルー

エボニック、発酵法による非動物由来コラーゲン・プラットフォームを発表

エボニック インダストリーズ(本社:ドイツ、エッセン)は、発酵ベースのプロセスで、動物やヒト由来の原料を一切使用しないコラーゲンを生成する先進的な基盤技術(コラーゲン・プラットフォーム)を発表しました。

この組み換え技術により、安全かつサステナブルで商業利用規模にも対応した、高純度で溶解性の高いコラーゲンを、はじめて医薬品、医療用具、細胞培養および再生医療の市場に提供することとなります。

「この技術は、私たちのここ数年における最も画期的な技術革新と言えます。発酵コラーゲン技術は、医薬品、医療用具、および細胞培養の市場で、事実上、動物由来コラーゲンにとってかわる製品となりうるのです。より安全性の高い、次世代のコラーゲン製品を、お客様と共に作り上げることを期待しています」と、ヘルスケア事業部門の責任者トーマス・リアマイアー(Dr. Thomas Riermeier)はコメントしています。

「バイオテクノロジーは、エボニック ニュートリション&ケアの成長とイノベーションの重点分野であり、発酵、バイオマテリアル、製品工業化における、弊社のコアコンピテンシーが活かされています」と、エボニック ニュートリション&ケアの責任者であるヨハン-カスパー・ガメリン(Johann-Caspar Gammelin)はコメントしています。

この新しいコラーゲン・プラットフォームは、家庭用品や化粧品で利用されているバイオサーファクタント(ラムノリピド)や天然海藻類から抽出する養殖飼料向けオメガ3脂肪酸(ヴェラマリス、Veramaris)など、近年エボニックが開発した他の発酵ベースのバイオテクノロジーにおける技術革新を強く補完します。

エボニックが特許を有するこのコラーゲン・プラットフォームは、多くの天然コラーゲンの特性を模倣した三重らせん構造やその他の生体特性を持つため、安定的に細胞や組織と相互作用し、容易に体内に吸収され、再構築されます。

現在、ライフサイエンス産業で利用されているコラーゲンのほとんどは動物由来のコラーゲンで、バッチによる差があり、病気や病原体の潜在的な感染源となり、過剰免疫反応やアレルギー反応に関連するため、サステナブルな材料と言い難い面があります。それに比べ、エボニックのコラーゲンは、十分に管理された発酵プロセスのもとで製造され、サステナブルであると同時に、ヴィーガン*にも対応します。また、このプロセスは、いかなる商業規模でも超高純度の製品を再現性高く供給することができます。

*ヴィーガン (vegan) は、ヴィーガニズム(veganism)を由来とする造語で、「人間は動物を搾取することなく生きるべきだという主義」とヴィーガン協会(英)により定義されている。

エボニックは、確立された発酵プロセス技術とグローバルな製造ネットワークをフルに活用し、このコラーゲン・プラットフォームが世界中で商業利用されるよう展開していきます。また、エボニックのアプリケーション、製剤設計、および製造力は、お客様が独自のバイオファブリケーション*製品を開発、商品化するにあたり、活用いただけます。

*バイオファブリケーション, bio-fabrication, とは,bio(=バイオロジー=生物学的な)とfabrication(=作る,組み立てる)を組み合わせて作られた造語である。組織工学の重要課題である3次元の重厚組織をいかに作るかに対して、工学的な構築手法を開発して実現を目指す研究が始まった。それらの活動を総称して表現するために作られた言葉である。(日本薬学会Webより引用)

新しいコラーゲン・プラットフォームは、2018年にシンガポールで新設されたエボニックのティッシュ・エンジニアリングのプロジェクトハウスもサポートします。当プロジェクトは、再生医療における先進バイオマテリアルソリューションを開発すべく、エボニックの戦略的イノベーション部門であるクレアビス(Creavis)が立ち上げたものです。

(本プレスリリースは、2020年3月17日にドイツで発表されたものを翻訳しています。)

エボニック インダストリーズについて

エボニックは、100ヵ国以上で事業を展開するスペシャルティケミカルの世界的リーダーの1つです。2019年度は、131億ユーロの売上、21.5億ユーロの営業利益(調整後EBITDA)を計上しました。

革新的で収益性の高い持続可能なソリューションをお客様に提案するために、私たちは化学のその先を目指します。「毎日の暮らしを豊かに」という同じ目的のもと、32,000人以上の社員が働いています。

ニュートリション&ケア部門について

ニュートリション&ケアは、エボニックニュートリション&ケアGmbHが主導しており、日常生活に欠かせない日用品、畜産動物の栄養、ヘルスケアに関する製品を提供しています。このセグメントは約8,200名の従業員を有し、2019年度は約46億ユーロの売上を計上しました。

コラーゲン市場について

コラーゲンは体内のたんぱく質を構成する主要成分であり、ヒトや他の哺乳類の総タンパク質量の4分の1から3分の1を占めます。皮膚、細胞組織、軟骨、臓器、骨、骨髄、細胞膜、靭帯、髪の組成と機能において重要です。細胞と組織の相互作用を可能にする生体適合性、分解性、構造特性から、ヘルスケアのバイオマテリアルとして一般的に使用されています。製品の応用分野は、整形外科、心臓血管、創傷ケア、眼科医療、一般外科、歯科医療、ドラッグデリバリー、再生医療にわたります。現在使用されているほぼすべての医療用および医薬品グレードのコラーゲンは、動物由来となっています。

免責事項

このプレスリリースに記載されている見通しや期待、または将来の予測に関する記述は、既知または未知のリスクと不確実性を含む可能性があります。実際の結果や発展は事業環境の変化により異なる場合があります。エボニック インダストリーズ AGはこのリリースに含まれる見通し、期待、記述に関して、更新の義務を負いません。