エボニック、ティッシュ・エンジニアリング(組織工学)のプロジェクトハウスをシンガポールに新設
~再生医療の研究を強化~
• ティッシュ・エンジニアリングの素材市場は年率30%で成長
• エボニックは医療用途向けの特殊素材に注力
エボニック インダストリーズ(本社:ドイツ、エッセン)は、ティッシュ・エンジニアリング(組織工学)のプロジェクトハウスをシンガポールに4月17日開設しました。多岐にわたる研究分野から最大20名の科学者が結集し、けがや病後の組織再生に適用可能な信頼性の高いソリューションの提供を目指します。同プロジェクトハウスは、生体インプラント向けの素材開発を目的とし、シンガポールを拠点に、米国やドイツの研究者と密接に連携しながら、研究に取り組みます。
イノベーション部門の責任者ウーリッヒ・クシュタッド(Ulrich Küsthardt)は、「エボニックは、イノベーションを通じた更なる成長を目指しており、目標達成に向け、ヘルスケア・ソリューションの分野で研究を進めています。再生医療分野における先進的応用を目指し、新たなプロジェクトハウスでティッシュ・エンジニアリングに取り組みます」と話しています。エボニックは、アメリカ・アラバマ州のバーミンガムでメディカルデバイスのプロジェクトハウスを成功裏に終え、次のステップとして再生医療に向けた取り組みを実施します。メディカルデバイスのプロジェクトハウスでは、生体インプラント治療などに使用するポリマー系材料の研究を行いました。
専門家によると、ティッシュ・エンジニアリング分野で必要とされる素材の市場は、年率約30%成長しており、その規模は2021年までに30億米ドル台に達すると見込まれています。ティッシュ・エンジニアリングでは、足場材料を用い、特別な栄養素や成長因子を必要とする細胞を増殖します。その究極の目的は、骨、軟骨、腱、動脈などの培養や再生を一つの手段として生体外で組織を培養した後、生体内に移植することです。新プロジェクトハウスの責任者アレクサンダー・ケーニッヒ(Alexander König)は、「再生医療に対応した、信頼性や拡張性が高く効果的なティッシュ・エンジニアリングのソリューションについて研究することを目指します」とコメントしています。
エボニックは、組織置換用の足場材料に適した生体吸収性ポリマーなどのマテリアル分野で、幅広い経験があります。ケーニッヒは、「これらの素材開発を続けることで新たな専門性を確立し、バーミンガムのメディカルデバイスコンピテンシーセンターとも密接に連携していきます」とコメントしています。例えば、3Dプリンターで作成した足場材料を用い、適切な組織構造を作り損傷の修復を図ることは、今後、注目される分野になるだろうとケーニッヒは考えています。
さらに、足場材料を用いて行う組織細胞培養条件の最適化はもう一つの注目分野となっています。エボニックはバイオテクノロジー分野における卓越した専門知識を誇り、必要な培地や培地成分(アミノ酸など)に関する知識もあります。ケーニッヒが指摘したように、「シンガポールではイノベーションに対する優れた環境を利用することができます。3Dプリンティングに関する先進的研究が行われ、医療研究ではトップクラスの大学が、ここシンガポールにあります」
自由に戦略的イノベーションを追求できるプロジェクトハウス
エボニックの戦略的イノベーション部門であるクレアビス(Creavis)は、プロジェクトハウスを設立し、社内の様々な部門の科学者が結集して特定のテーマについて取り組むオープンスペースを提供します。プロジェクトハウスでは、一般的に3年の期限を設けて、専門家が集まり研究を行います。通常、プロジェクトハウスで開発した製品や技術は、その後、社内のいずれかの事業部門が製品化を担当します。2000年以降、エボニックは11のプロジェクトハウスを立ち上げており、ティッシュ・エンジニアリングは12番目のプロジェクトハウスとなります。
(このプレスリリースは2018年4月17日にドイツで発表されたものを翻訳しています)
エボニック インダストリーズについて
エボニックはスペシャルティケミカルの世界的リーダーの1つです。専門性の高いビジネス、顧客中心の革新的な技術力、信頼できるパフォーマンス志向の企業文化は、エボニックの企業戦略の根幹であり、収益性の高い成長と持続的な企業価値向上に貢献します。エボニックが優位性を誇るマーケットから企業利益の多くはもたらされています。100カ国以上で事業を展開し、2017年度は36,000人以上の従業員を有し、総売上高は144億ユーロ、EBITDA(金利・税金・償却前利益)は23億6000万ユーロを計上しました。
ニュートリション&ケア部門について
ニュートリション&ケアは、エボニックニュートリション&ケアGmbHが主導しており、日常生活に欠かせない日用品、畜産動物の栄養、ヘルスケアに関する製品を提供しています。このセグメントは約8,200名の従業員を有し、2017年度は約45億ユーロの売上を計上しました。
免責事項
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