エボニック、シナリオプラニングによりスペシャルティケミカルの未来像を示す
エボニック インダストリーズ(本社:ドイツ、エッセン)は、シナリオプランニングの手法を用い、今後のスペシャリティケミカルの未来像を明らかにしました。
- 世界最大級の取組みを行い、スペシャルティケミカルの未来に関する5つのシナリオを作成
- この結果をもとに戦略的イノベーションに向けた方向性を確立
- イノベーション成長分野と指定された領域からの売上は2018年で2億5,000万ユーロ以上を達成
エボニックはこの世界最大級の取組みによって、より早く目指すべき方向へイノベーションを進めることを目指しています。このシナリオは、今後長期戦略を見直す際や更新する際にも活用できます。
「スペシャルティケミカル業界の未来」に関するシナリオプロジェクトは、どのような大きな力によりスペシャルティケミカル企業が長期的な影響を受ける可能性があるのか、という1つの重要な問題について検討することから始まりました。そこから作成された5つのシナリオは、包括的なデータ収集と分析に基づいています。シナリオは、現在から2040年にかけて起こりうる国際的な展開を描いており、説得力がある一方、当然物議を醸す場合もあります。「デジタルチャンピオンズ」「チャイニーズドリーム」「見せかけの平穏」「激動の時代」「持続可能なパラダイム」というタイトルだけでもシナリオが示す動向がはっきりわかります。
エボニック インダストリーズ取締役副会長兼イノベーション担当ハラルド・シュヴァーガー(Harald Schwager)は、「私たちには豊富な情報があるため、関連する世界動向をより正確に理解し分析することができます。当社のシナリオに描かれていることが現実となる可能性もありますが、必ずしもそうなる必要もありません。これはよく研究し尽くされたサイエンスフィクションなのです」とコメントしています。シュワーガーにとって、卓越したイノベーションとお客様との緊密な連携は成功に欠かせない大きな要因であり、収益性の高い成長を遂げるための原動力でもあります。「シナリオプロジェクトのおかげで、魅力的かつ戦略的なツールを自由に利用できるようになりました。これは、潜在的な発展に導くイノベーションについて、現時点でのアイデアをモデル化するために役立ちます」。またシュヴァーガーは、製品開発のみならず、新しいビジネスモデルや効率化に向けた取り組みなどに対してもこの結果を反映させることを示唆しています。
エボニックのコーポレート・フォーサイトチームは、12ヶ月におよび社内外の化学、政治学、経済学や国際的な未来学研究の専門家へのインタビューを100回以上、ワークショップを15回以上実施するなど、シナリオ作りに向けた基礎調査にまず取り組みました。その後チームは、情報から得られる重要な要素やそこから発生する影響を特定・分析、起こりうる展開を推定し、それを説得力があり一貫性のあるシナリオにまとめるという膨大な作業を行いました。
このプロセスを経て、エボニックの中長期的展望に関する5つのシナリオが作られています。「デジタルチャンピオンズ」のシナリオは、大手インターネット企業がその知識と独自の考え方により、既存産業のバリューチェーンから益々大きな恩恵を受けるというものです。 「持続可能なパラダイム」のシナリオでは、持続可能性が経済活動の指針となるケースが描かれています。 「チャイニーズドリーム」では、中国が世界の技術・経済・政治大国になっています。「激動の時代」のシナリオでは、ナショナリズム、フェイクニュース、およびポピュリスト勢力によって、長期にわたる非グローバリゼーションプロセスが発生しています。現状を維持するだけのシステムに問題が蓄積し、システム崩壊寸前の状態にあるという「見せかけの平穏」のシナリオは、他とは異なる観点から未来を捉えています。
イノベーション部門の責任者(CIO)ウルリッヒ・クシュタッド(Ulrich Küsthardt)は、多様で多面的な性質をもつシナリオに大きな可能性を見出しています。「シナリオプロジェクトの結果をすでにイノベーションプロセスや戦略に活用し始めています」とコメントしています。今後ワークショップを開催し、シナリオがイノベーティブな環境、ビジネスモデル、お客様の期待、労働条件、物流などに与える影響について、参加者に分析してもらいます。さらに、エボニックの事業分野や各地域の組織全体でも、シナリオを利用して既存の戦略の安定性をテストし、必要に応じてそれを発展させて新たな戦略を計画します。クシュタッドはその背景について、「さらなるイノベーションのために様々な道を切り開いています」と説明しています。
「当社のイノベーション戦略は、企業戦略にしっかりと結びついており、ヘルスケア、ニュートリション、リソースエフィシエンシーといった当社にとって関連性の強い成長市場に照準を合わせています」とCIOはコメントしています。エボニックは、持続可能な栄養、ヘルスケアソリューション、先進的な食品成分、メンブレン、化粧品、添加剤という6つのイノベーション成長分野に重点を置いています。これらの分野におけるイノベーションを計画しており、2025年までに10億ユーロの売上増達成を見込んでいます。
初期の取り組みはすでに成果として現れており、2018年は、成長分野において2億5,000万ユーロを超える売上を達成しました。研究開発費総額は、前年並みの4億5,900万ユーロとなっています。シュヴァーガーは、「私たちは正しい方向に向かっていますが、さらに焦点を定め効率性を高めたいと考えています。当社のアイデアは、スピーディーかつ完璧な製品としてお客様に届けられなくてはいけません。同時に、長期的未来を見失うことがあってはなりません」と述べています。
(本プレスリリースは、6月27日にドイツで発表されたものを翻訳しています)
シナリオプロジェクトに関するより詳しい情報はこちらからご確認いただけます。
エボニック インダストリーズについて
エボニックはスペシャルティケミカルの世界的リーダーの1つです。専門性の高いビジネス、顧客中心の革新的な技術力、信頼できるパフォーマンス志向の企業文化は、エボニックの企業戦略の根幹であり、収益性の高い成長と持続的な企業価値向上に貢献します。エボニックが優位性を誇るマーケットから企業利益の多くはもたらされています。100カ国以上で事業を展開し、2018年度の従業員が32,000人を超える継続事業の売上高は133億ユーロ、EBITDA(金利・税金・償却前利益)は21.5億ユーロを計上しました。
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