エボニック、新型コロナウイルスによる危機を乗り切る

取締役会長クリスチャン・クルマン（Christian Kullmann）は、「エボニックは何とか危機を凌いでいます。第2四半期はパンデミックの影響を受けたものの、戦略的ポートフォリオの改善や効率化プログラムの実施により、上半期は当初の予想を上回る結果を残すことができました。この状況は、特に当社の強力な成長セグメントで顕著にみられます」とコメントしています。

2つの成長セグメントであるリソースエフィシエンシーとニュートリション＆ケア事業部門は、第2四半期に堅調な業績を示し、それぞれ20%という目覚ましいEBITDAマージンを達成しました。一方、パフォーマンスマテリアルズ事業部門は、需要の低迷と原油安による大きな打撃を受けました。

第2四半期の調整後純利益は、前年同期比30％減の1億6,000万ユーロ、調整後1株当たりの利益は、0.49ユーロから0.34ユーロに減少しました。フリーキャッシュフローは9,600万ユーロと大幅な増加となりました。ボーナスと税金の支払いが減少したことで、営業利益の減少と正味運転資本の増加による影響を相殺する以上の効果が見られました。

CFOウテ・ヴォルフ（Ute Wolf）は、「危機下においても、当社は現金収支を極力抑えた結果、コストを削減することができました。一部の市場では回復の兆しが見え始めていますが、全般的に景気が回復しているというわけではなく、新型コロナウイルスによる危機はまだ収束に至っていません」とコメントしています

エボニックは、5月7日から2020年通年の見通しを確定し、売上高は115億から130億ユーロ、調整後EBITDAは17億から21億ユーロの間を見込んでいます。

事業部門ごとの業績

リソースエフィシエンシー：一部の事業は需要の減少の影響を大きく受けたものの、その他の事業は安定した状態を維持しました。架橋剤は、風力発電市場からの需要が増加しました。過酸化水素製品は、ペルオキシ・ケム社（アメリカ）が2月初めにグループに加わったことや、殺菌剤などのスペシャルティ製品が好調に推移したことから、売上増となりました。一方、タイヤ業界向けの高機能プラスチック、シリカ、シランは、世界的な景気後退や自動車産業を中心とした顧客の生産削減による影響を受け、販売量が減少しました。石油添加剤の需要も減少しました。その結果、第2四半期の売上高は、14%減の12億4,000万ユーロ、調整後EBITDAは22%減の2億5,500万ユーロとなりました。

ニュートリション＆ケア：堅調な売上推移でした。第2四半期の売上高は、わずか4%減の10億9,000万ユーロ、調整後EBITDAは、それを上回る14%増の2億1,700万ユーロとなりました。家畜飼料向けの必須アミノ酸は、販売価格の上昇と需要増加の恩恵を受けました。ヘルスケアは、医薬品や食品の原材料ならびに医薬品用機能性ポリマーで、再び喜ばしい売上増となりました。一方、ポリウレタンフォーム用添加剤の需要は、減少となりました。

パフォーマンスマテリアルズ：第2四半期の売上高は42%減の3億1,900万ユーロと大幅な下落となりました。とりわけ自動車産業や石油産業における需要の落ち込みが、特にパフォーマンスインターミディエイツに影響を及ぼしました。さらに、原油価格の大幅下落が、ビジネスを圧迫しました。ファンクショナルソリューションズの売上高にも、需要低迷による減少が見られます。調整後EBITDAは、85％減の1,100万ユーロとなりました。

（本プレスリリースは、2020年8月4日にドイツで発表されたものを翻訳しています。）