Press release
Health Care
August 25, 2022

エボニック、ドイツ・ハナウで脂質製造施設を新設  

エボニック インダストリーズ(本社:ドイツ、エッセン、以下「エボニック」)は、革新的な医薬品の臨床開発のための脂質を製造するcGMP対応の製造施設を新設し、拡張します。ドイツ・ハナウのこの新しいcGMP対応施設は、臨床開発に必要な少量バッチサイズの脂質をお客様に提供します。

  • 臨床開発および商業化に向け、あらゆる種類のカスタマイズされた脂質の製造が可能に
  • cGMP(医薬品等製造管理基準)に準拠した脂質製造施設を新設し、現在の包括的な脂質製造能力を強化
  • mRNA治療薬および核酸治療薬の統合ソリューション・プロバイダーとしての地位をさらに強化
     

当施設の拡張により、現在のグラム単位の開発ラボが強化され、商業化までの各段階におけるパートナーのニーズに応えることができるようになります。粒子工学やクロマトグラフィーなどの精製能力を備えた新施設は、PEG化脂質、リン脂質、イオン化可能なカチオン性脂質など、あらゆる種類のカスタマイズされた脂質および、お客様が専売権を持つ脂質を製造することで、お客様をサポートします。なお、操業開始は2023年初頭を予定しています。

 

エボニックは、当製造施設の拡張により、mRNA(メッセンジャー・リボ核酸)治療薬、ならびにsiRNA、オリゴヌクレオチドなどの核酸治療薬の高度なドラッグデリバリー、遺伝子デリバリーの統合製品ポートフォリオをさらに拡大します。こうした技術は、今後の医薬品に不可欠な存在です。

 

さらに、エボニックは、この新しい脂質製造施設で、継続的にこの重要な技術に取り組み、製薬会社やバイオテクノロジー企業に医薬品の処方から大規模な商業化までのエンドツーエンドのソリューションを提供します。今年6月、米国政府と数億ドルの共同投資を行い米国インディアナ州ティピカヌーの拠点に新しい脂質製造施設を建設することを発表しました。2022年初めには、ドイツ・ハナウの拠点で、LNP(Lipid Nanoparticle 脂質ナノ粒子)製造に重要な植物由来のコレステロールPhytoChol®の製造能力も増強しています。さらにカナダ・バンクーバーの研究所では、30年以上にわたり、LNPやリポソームを含む脂質ベースの非経口薬製剤の前臨床開発および治験薬製造に取り組んでいます。

 

ヘルスケア部責任者トーマス・リアマイアー(Thomas Riermeier)は、「ハナウの拠点でキログラム単位の製造が可能になることで、製薬会社のお客様により多くの脂質を必要な量だけ提供できるようになることを喜ばしく思います。これが臨床試験の成功、ひいてはより多くの新しい治療法の承認に貢献すると確信しています」と述べています。

 

キログラム単位で製造可能な各種脂質は、感染症対策、がん免疫療法、タンパク質代替療法、遺伝子治療など、幅広いmRNAベースの治療および遺伝子治療に貢献することが期待されます。今回の脂質製造施設の建設により、お客様はより大規模な生産に対応するcGMPに準拠した原料の入手が可能になり、増産へのスムーズな移行が可能になります。このように、開発から商業生産までのさまざまな規模での一貫性を保つことで、例えば、ラボスケールでの試験では入手が困難だった不純物や毒性についての重要な情報を、お客様に提供することができるようになります。

 

ヘルスケア部ドラッグデリバリー&プロダクトユニットの責任者ポール・スペンサー(Paul Spencer)は、「エボニックは、信頼できるパートナーとして、カスタマイズされた脂質およびお客様が専売権を持つ脂質の開発・製造を行うことで、主要なプレーヤーが遺伝子治療の可能性を実現できるように、ソリューションの提供を強化し続けていきます。当社の脂質製造施設は現在、開発の初期段階における効率性を高めるために、お客様に合わせたソリューションを提供しています」と述べています。

 

生細胞のビルディングブロックを構成する分子である脂質は、mRNAベースの医薬品を製造する上で非常に重要な役割を担っています。mRNAは、特定の脂質で構成されたLNPに封入されます。LNPはmRNAを保護し、安全に細胞内に送り込み、そこでmRNAを放出させます。LNPは現在最も先進的なドラッグデリバリーシステムであり、その汎用性から新型コロナウイルスとの闘いにおいて世界中で利用されています。コロナウイルスのパンデミックが発生した際、エボニックはファイザー(Pfizer)社/ビオンテック(BioNTech)社の新型コロナウイルスワクチンCOMIRNATY®に使用する特殊脂質を提供し、多大な貢献をしました。

 

エボニックは製薬業界のパートナーとして、数十年にわたり先進的なドラッグデリバリーの分野でリーダー的な存在となっています。複雑な非経口薬や経口薬の開発・製造のための包括的なサービスを提供し、世界中の製薬会社をサポートしています。これには、脂質やカスタマイズされた脂質等の医薬品添加剤、医薬品製剤の開発、臨床試験用医薬品、市販薬の製造等が含まれます。

 

ヘルスケア部は、ライフサイエンス事業を展開するニュートリション&ケア部門のひとつで、同部門は2030年までにシステムソリューションが売上に占める割合を、現在の20%から50%以上に引き上げる予定です。システムソリューションとは、製品、技術、サービスを組み合わせて、お客様にエンドツーエンドの開発・製造サービスを提供するものです。

 

(本プレスリリースは、2022年8月2日にドイツで発表されたものを翻訳しています。)

エボニック インダストリーズについて

エボニックは、100ヵ国以上で事業を展開するスペシャルティケミカルの世界的リーダーの1つです。2021年度は、150億ユーロの売上、23.8億ユーロの営業利益(調整後EBITDA)を計上しました。 革新的で収益性の高い持続可能なソリューションをお客様に提案するために、私たちは化学のその先を目指します。「毎日の暮らしを豊かに」という同じ目的のもと、33,000人以上の社員が働いています。

 

アジア・パシフィック・リージョンについて

エボニックは、世界経済を牽引し、イノベーションの宝庫であるアジア・パシフィック・リージョンで更なるビジネスの成長を目指しています。2021年度は、34.1億ユーロの売上を計上し、50以上の製造拠点で5,000人以上の社員が働いています。

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