2022年度通期業績発表/2023年度業績予想
エボニック、厳しい環境下で堅調な収益を達成
エボニック インダストリーズ(本社:ドイツ、エッセン 以下「エボニック」)は、2022年という厳しい年を終え、2023年について慎重でありながらも楽観的な見通しを立てています。
- 2022年度調整後EBITDAは4%増の24.9億ユーロ
- 2023年度業績予想: 調整後EBITDAは21億ユーロから24億ユーロの範囲の見込み
- 2030年以降、購入電力はすべて再生可能エネルギー源から供給
取締役会長クリスチャン・クルマン(Christian Kullmann)は、「戦争、高いインフレ率、大きく変動するエネルギー価格の影響により、当社は多くの困難に直面し、現在もその状態が続いています。それにもかかわらず、過去10年間で最高の業績を達成することができました。エボニックは困難な環境にも対応できる体制を整えています。今年度もこの体制が上手く機能してくれるでしょう」と述べています。
昨年度は、上期は非常に好調でしたが、下期はかなり厳しい状況に見舞われました。通期では、売上高は24%増の185億ユーロとなりました。販売数量はわずかに減少し、原材料とエネルギーの価格が大幅に上昇したケースもありました。エボニックはほとんどの製品において、価格転嫁することができました。調整後EBITDA(支払利息・税金・減価償却費控除前利益)は4%増となり、予想範囲25億ユーロから26億ユーロの下限をほぼ到達することができました。24.9億ユーロの収益は、2012年以来の高水準となりました。
当期純利益は、主にパフォーマンスマテリアルズ部門の3.01億ユーロののれんの減損により減少しましたが、調整後当期純利益は7%増の10.5億ユーロとなりました。
フリーキャッシュフローは7.85億ユーロでした。これはキャッシュコンバージョン率32%に相当し、年度内に修正した目標値の30%をわずかに上回りました。最高財務責任者(CFO)のウテ・ヴォルフ(Ute Wolf)は「2022年度は上半期と下半期でそれぞれの事業環境が大きく異なり、在庫管理に苦労しました。年末にこれらの問題に取り組み、それが奏功したことで、第4四半期には非常に強力なフリーキャッシュフローを達成することができました」とコメントしています。
取締役会および監査役会は、5月31日に開催される年次株主総会において、年間配当金を1株当たり1.17ユーロに据え置くことを提案する予定です。これにより、約5%という魅力的な配当利回りとなります。
多くの不確定要素があるにもかかわらず、エボニックは2023年度について、慎重かつ楽観的な見通しを立てています。エネルギー価格とインフレがどの程度落ち着き、持続するのか、また、世界経済、特に中国経済がどの程度回復するかに大きく左右されることになります。特に2023年度の第1四半期は、2022年度後半のマイナス基調の継続が予想されますが、第2四半期以降は、徐々に回復することが期待されています。
2023年度の売上高は、170億ユーロから190億ユーロの範囲、調整後EBITDAは21億ユーロから24億ユーロの範囲を見込んでいます。前年度と比較して、スペシャルティアディティブス部門とスマートマテリアルズ部門、ヘルスケア事業は回復するものの、主に価格主導型であるアニマルニュートリションおよびパフォーマンスインターミディエイツ事業の減益により相殺されることが予想されています。フリーキャッシュフローは増加し、キャッシュコンバージョン率は目標である約40%に向けて上昇すると見込んでいます。「現在も続く不確実性を考慮し、業績予想の範囲を昨年より広く設けています。当社は野心的な目標を設定し、力を合わせてそれを達成するつもりです」とクルマンは述べています。2.5億ユーロのコスト削減が、業績予想の達成に寄与すると考えています。
ポートフォリオ、サステナビリティ、イノベーション
このような厳しい環境にもかかわらず、エボニックはサステナビリティと収益性の向上を目指し変革を推し進めています。クルマンは、「エボニックは、持続可能な成長市場への投資を計画的に行い、景気変動の影響を受けやすい事業の売却を進めています。リュルスドルフ拠点の売却は、パフォーマンスマテリアルズ部門の事業売却計画の第一歩となります」と述べています。リュルスドルフ拠点の売却交渉は、現在進められています。
エボニックは、事業売却計画と並行して、高いリターンが期待できる6つのイノベーション成長分野に的を絞った投資を行っており、すでに成果を上げています。イノベーション成長分野の売上高は、昨年度20%以上増加し、6億ユーロに達しました。チーフ・イノベーション・オフィサー(CIO)のハラルド・シュヴァーガー(Harald Schwager)は、「この分野の製品には、高い成長性と平均以上のマージンが期待できます。私たちの目標は明確で、2025年度までに、これらの革新的な製品で10億ユーロの売上を達成したいと考えており、その目標に向けて順調に進んでいます」と述べています。
新製品は、エボニックのサステナビリティを強化します。一般的な代替品と比較して、より高いサステナビリティのメリットをお客様に提供する製品である、Next Generation Solutions(次世代ソリューション)の昨年度の収益におけるシェアは、43%に上昇しました。「エボニックは、次世代ソリューションのシェアを50%以上に増やすために、2030年までにその成長に30億ユーロ以上を投資するという目標を設定しました」と、サステナビリティ担当執行役員のトーマス・ヴェッセル(Thomas Wessel)はコメントしています。
またエネルギー供給の迅速な見直しも、持続可能な変革における重要なステップとなります。風力エネルギーの電力購入契約の締結により、2026年度以降、エボニックが外部から購入する電力のうち半分以上が再生可能エネルギー源から供給されることになります。2030年度までには、購入電力のすべてがグリーン電力になる予定です。
地政学的リスクへの対応という観点からも、エボニックは新製品開発への投資を3つの中核地域に分散して行っています。例えば、上海にリチウムイオン電池の新しい研究センターを開設しました。日本では、リチウムイオン電池市場向けのフュームドアルミナの生産能力を拡大中です。スロバキアでは、100%生分解性のグリーンバイオサーファクタント製造工場を建設中です。米国では、mRNAベースの医薬品に必要な医薬用脂質のプラントが着工間近です。
事業部門ごとの業績
スペシャルティアディティブス:部門全体で、順調な事業展開となりました。売上高は、主に原材料コストの高騰に伴う販売価格の大幅な上昇と、為替のプラス効果により、13%増の41.8億ユーロとなりました。耐久消費財および自動車産業向けポリウレタンフォーム用添加剤は、販売価格の改善により増収となりました。建設・コーティング業界向け、および再生可能エネルギー向けの製品も好調に推移しました。当事業部門の調整後EBITDAは、3%増の9.46億ユーロとなりました。
ニュートリション&ケア:売上高は、販売価格の大幅な上昇によりコスト増を相殺できたことと、為替のプラス効果により、前年同期比19%増の42.4億ユーロとなりました。販売数量は減少しましたが、販売価格の引き上げにより必須アミノ酸で大幅な売上増を達成しました。販売数量は、主にアジアでの需要が不安定であり、中国でのコロナによるロックダウンが事業の重荷となったため、減少しました。動物飼料業界では、原料価格の高止まりにもかかわらず、世界的な在庫調整により販売価格は下落しました。ヘルスケアおよびパーソナルケア製品の売上高は、化粧品業界向けの機能性成分の強い需要に支えられ、大幅に増加しました。当事業部門の調整後EBITDAは、6%減の6.77億ユーロとなりました。
スマートマテリアルズ:売上高は、原材料費の高騰に伴う販売価格の大幅な上昇や、為替によるプラスの影響もあり、23%増の48.3億ユーロとなりました。販売数量は安定的に推移しました。無機製品およびポリマーの売上高は、販売価格の上昇により増加しましたが、販売数量はほぼ横ばいでした。当事業部門の調整後EBITDAは、5%増の6.84億ユーロとなりました。
パフォーマンスマテリアルズ:売上高は26%増の36.6億ユーロとなりました。これは販売数量が顕著に減少する中、価格の大幅な上昇と為替のプラス効果の恩恵を受けたことによるものです。C4-統合生産品の事業では、販売数量は減少しましたが、販売価格の改善により増収となりました。アルコラート事業は、必要な価格改定を行った成果が出ました。高吸水性ポリマー事業は、市況の改善も追い風となり、売上高が増加しました。当事業部門の調整後EBITDAは、29%増の4.09億ユーロとなりました。
(本プレスリリースは、2023年3月2日にドイツで発表されたものを翻訳しています。)
エボニック インダストリーズについて
エボニックは、100ヵ国以上で事業を展開するスペシャルティケミカルの世界的リーダーの1つです。2022年度は、185億ユーロの売上、24.9億ユーロの営業利益(調整後EBITDA)を計上しました。
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免責事項
このプレスリリースに記載されている見通しや期待、または将来の予測に関する記述は、既知または未知のリスクと不確実性を含む可能性があります。実際の結果や発展は事業環境の変化により異なる場合があります。エボニック インダストリーズ AGはこのリリースに含まれる見通し、期待、記述に関して、更新の義務を負いません。