2023年度第1四半期業績発表
景気低迷による厳しい第1四半期
エボニック インダストリーズ(本社:ドイツ、エッセン 以下「エボニック」)は、困難な中での第1四半期に、2023年度の業績予想を確定しました。取締役会長クリスチャン・クルマン(Christian Kullmann)は、「今年度は予想をさらに上回る厳しいスタートとなりましたが、第1四半期中に業績回復の兆しが見えてきました。営業利益については、2月、3月ともに前月を上回りました」と述べています。
- 調整後EBITDAは44%減の4.09億ユーロ
- 2023年度業績予想は予想範囲の下限で確定
- リュルスドルフの拠点の売却に成功
第1四半期は、経済活動の停滞と需要の低迷に見舞われ、特に新年度の最初の数週間は、顧客の在庫調整が続きました。全体としては、売上高は前年同期比11%減の40億ユーロとなり、販売数量は14%減少しました。価格上昇により、販売数量減少の一部は相殺され、インフレの影響も抑えることができました。調整後EBITDA(支払利息・税金・減価償却費控除前利益)は前年同期比44%減の4.09億ユーロとなりました。
営業損益は低調だったものの、フリーキャッシュフローは0.21億ユーロに達しました。4月1日に最高財務責任者(CFO)に就任したマイケ・シュー(Maike Schuh)は、「今年度のフリーキャッシュフロー目標を達成するには、さらなる努力が必要です。運転資本と投資の扱いについては、より一層、規律に従わなくてはいけません。今、全員が力を合わせ、この厳しい環境に耐えられることを示さなければなりません」と述べています。
通期では、調整後EBITDAは予想範囲の下限である21億ユーロから24億ユーロ程度になると予想しています。その主な理由としては、動物飼料用添加物であるメチオニンとC4製品の価格下落が挙げられます。
エボニックは現在の難局に屈することなく、発表したポートフォリオの調整を推し進めています。パフォーマンスマテリアルズ部門における売却の第一弾として、ドイツ・ケルンの南に位置するリュルスドルフの拠点を売却しました。高吸水性樹脂事業の売却は現在進行中で、3月に投資勧誘を行い、計画どおりに進捗しています。
また、社外コンサルタントの削減、出張の削減、人材採用の抑制などのコスト調整策も実を結んでいます。しかし、目標としている2.5億ユーロ削減の大部分が達成されるのは、今年度後半になる見込みです。
一方、サステナビリティ戦略の実行は加速しています。3月、米国で世界規模の医薬用脂質製造施設の建設に着手し、ドイツ・ハナウでは、臨床開発に必要な量の脂質を製造する施設を開設しました。また2月には、オーストリアでガス分離膜の新工場を稼働させました。
事業部門ごとの業績
スペシャルティアディティブス:販売数量の減少により、売上高は前年同期比12%減の 9.21億ユーロとなりました。また原材料およびエネルギーコストの高騰は、価格転嫁で対応しました。建設・コーティング業界向け製品は大幅な減収となりました。ポリウレタンフォームおよび耐久消費財向け添加剤も、主に販売数量の減少により減収となりました。自動車産業向け添加剤は、販売数量の減少が販売価格の上昇により相殺され、安定した売上高となりました。調整後EBITDAは、対前年度で33%減の1.68億ユーロとなりました。第1四半期の調整後EBITDAマージンは、前年同期の24.0%から18.2%に減少しました。
ニュートリション&ケア:販売数量の大幅な減少により、売上高は前年同期比15%減の8.86億ユーロとなりました。アニマルニュートリション部では、アミノ酸事業の競争力と収益性の向上に向けて、オペレーティング・モデルの調整に取り組んでいます。メチオニン価格が継続的に下落していることから、この施策の実施は喫緊の課題となっています。本事業の売上は大幅に減少しました。一方、ヘルスケア業界向けの製品は、販売数量が減少したものの販売価格が上昇したため、前年度比ではわずかな減収にとどまりました。調整後EBITDAは前年同期比66%減の0.76億ユーロとなりました。調整後EBITDAマージンは、2022年度第1四半期の21.4%から8.6%に低下しました。
スマートマテリアルズ:売上高は、販売数量の減少により、前年同期比7%減の11.88億ユーロとなりました。原材料費の高騰を価格に転嫁したことにより、販売価格は上昇しました。無機製品は、需要減退により大幅な減収となりました。販売価格の上昇は、変動費の上昇を反映しています。ドイツのマールに高機能ポリマーPA12の設備を新設し、市場の強い需要に応えました。調整後EBITDAは、主に販売数量の減少と原材料費の高騰により、前年同期比23%減の1.64億ユーロとなりました。調整後EBITDAマージンは、前年同期の16.5%から13.8%に低下しました。
パフォーマンスマテリアルズ:売上高は販売数量と価格の減少により、前年同期比16%減の7.07億ユーロとなりました。C4製品は、需要の減退と価格の下落により、売上高が大幅に減少しました。高吸水性樹脂の売上高は、販売価格の改善により増加しました。調整後EBITDAは、主に販売数量の減少により、前年同期比55%減の0.37億ユーロとなりました。調整後EBITDAマージンは、前年同期の9.7%から5.2%に低下しました。
(本プレスリリースは、2023年5月 9日付で本社から発行されたプレスリリースを翻訳しています。)
エボニック インダストリーズについて
エボニックは、100ヵ国以上で事業を展開するスペシャルティケミカルの世界的リーダーの1つです。2022年度は、185億ユーロの売上、24.9億ユーロの営業利益(調整後EBITDA)を計上しました。 革新的で収益性の高い持続可能なソリューションをお客様に提案するために、私たちは化学のその先を目指します。「毎日の暮らしを豊かに」という同じ目的のもと、34,000人以上の社員が働いています。
アジア・パシフィック・リージョンについて
エボニックは、世界経済を牽引し、イノベーションの宝庫であるアジア・パシフィック・リージョンで更なるビジネスの成長を目指しています。2022年度は、37.8億ユーロの売上を計上し、50以上の製造拠点で5,200人以上の社員が働いています。
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