Press release
Japan
March 31, 2010

2009年 エボニック グループ業績発表

2009 年は大方の予想を上回る好業績 - 2010 年に向けて好発進

  • 売上は経済不況のため前年比の18%減少となるが、EBITDA(金利・税
    金・償却前利益)は前年比やや減(-6%)にとどまる
  • クラウス・エンゲル取締役会会長は「信頼に値する業績を上げ、危機的な
    年を乗り切ることができた」と発表
  • 21億ユーロのキャッシュフローを計上(2008年は4億ユーロ)
  • 純負債は約34億ユーロと、前年比12億ユーロの大幅減
  • 5億ユーロを超えるコスト削減に成功。当初の目標を大きく上回る
  • 収益性の高い成長と持続的な価値創出へ向け、新たな企業戦略を策定
  • 2012年12月31日まで、経営上の理由による解雇を行わない取り決め
  • 2010年は好調なスタートを切る

 エボニック インダストリーズ(ドイツ・エッセン)は3 月25 日に業績発表をおこない、エボニック インダストリーズ取締役会会長のクラウス・エンゲルは「エボニック グループは、世界的な経済危機とその余波にうまく対応することができた。2010 年に幸先の良いスタートが切れたことで、今年1 年に対する自信が深まった」と述べています。またエンゲルは「2009 年当初は難しい時期だったが、徹底的なコスト削減と効率化の結果、下半期には営業成績で急落した分を取り戻すことができた」とも話しています。流動性と収益を確保するために取られた迅速な対応の効果が表れています。エボニックは純運転資本を大きく減少させ、キャッシュフローを大幅に増加しました。エンゲルは「純負債を4 分の1 ほどと大幅に減少した。これは過去4 年間で最も急速にできた負債の圧縮だ」と指摘しています。さらに、新たな企業戦略を実施した結果、収益性の高い持続的成長を目指し、エボニック グループが前進するための道が切り開かれました。

経済情勢の影響で売上減 - コスト削減に支えられEBITDA は前年比やや減にとどまる

2009 年におけるグループ全体の売上は、前年比18%減の130 億7,600 万ユーロとなりました。しかしEBITDA(金利・税金・償却前利益)は上半期の34%の減少 に対し、最終的に前年比6%減の20 億2,500 万ユーロに留まりました。この業績は、効果的なコスト削減と夏以降に見られた若干の需要の回復によって支えられています。総体的にみて、2009 年のグループ全体のEBITDA マージンは15.5% に増加しましたが、これは前年(13.6%)を大きく上回っています。

グループの2009 年の営業外損失は2 億9,900 万ユーロで、前年(4 億600 万ユーロ)から明らかに改善しました。継続事業の税引前利益は14%増加し、4 億 1,200 万ユーロを計上しました。一方、廃止事業の税引前利益は2009 年には損得なしでした。前年の数値(1 億3,400 万ユーロ)は、主にタール精製・開始剤事業からの投資引き上げによる収益に押し上げられたものです。2009 年の純利益は2 億4,000 万ユーロとなり、売却による収益に押し上げられた前年値(2 億8,100 万ユーロ)を下回りました。このように世界的な経済危機にも関わらず、良好な業績を達成しました。

2009 年を席巻した危機にも関わらず、エボニックは資本コストを再び上回ることができました。使用総資本利益率(ROCE)は8.4%で、グループの税引前資本コスト8%を上回りました。また化学、エネルギー、不動産の各部門でも、ROCE が資本コストを上回りました。

営業活動のキャッシュフローが大幅に改善され、2008 年の3 億8,800 万ユーロから2009 年には20 億9,200 万ユーロに増加しました。主な要因は純運転資本、すなわち事業に関連した短期運転資金の大幅減でした。営業活動のキャッシュフローにより、純負債が11 億5,200 万ユーロ(25%強)減少し、34 億3,100 万ユーロになったほか、投資に資金を供給することができました。

2009 年には戦略的に重要なすべての設備投資を行いました。その総額は8 億
4,900 万ユーロに達しています。エボニック グループは、その柔軟な投資計画のおかげで設備投資を前年と比べて約3 億ユーロ減少することができました。

目標を大きく上回る5 億ユーロ超のコスト削減に成功

コストを削減して効率を改善するため、2009 年には抜本的かつ迅速な対応策を 講じました。最大の目標は、短期的に収益と流動性を改善することでした。エボニックの社員による取り組みは5 億ユーロを超える削減という、当初の短期目標で ある約3 億ユーロを大きく上回る成果をあげました。その結果、下半期に一部の 事業の不足分を埋め合わせることができました。さらに2012 年からは年間およそ5 億ユーロの持続的な節減を行う予定ですが、総額の約4 分の1 はすでに達成 されており、70%についても具体的な対応策が決定されています。

エンゲルは、エボニック グループ全体による昨年の「驚くべき業績」を高く評価しています。すべての従業員の努力のおかげで、エボニックは「昨年上半期には達成不可能と思われた」財務結果を発表することができました。これは、労使協議会と鉱業・化学・エネルギー労働組合(IG BCE)の協力を得ながら、経営陣と従業員が一丸となって取り組んだ結果です。ドイツの本社では、労使協議会とIG BCEとの間で、2012 年12 月31 日まで経営上の理由による解雇を差し控えるという取り決めが行われました。

グループ戦略が収益性の高い成長の道を開く

2009 年にはグループの戦略的再編が行われ、収益性の高い成長と持続的な価値創出を目指し、改めて方向性を定め直しました。昨年12 月に詳細な調査が行 った結果、エボニックは今後スペシャリティケミカルに集中していくという決断を下しました。当グループはすでにこの分野では世界的な有数企業のひとつに数えられています。今後の方針として、エネルギー部門はグループの傘下に存続しながら、1 社ないし数社のパートナー企業と連携してエネルギー分野での成長をめざし、可能性を追求していきます。またエボニックの不動産部門とTHS 社の不動産事業が一体化され、およそ13 万軒の住宅ユニットを有する強大な住宅用不動産会社が創出される予定です。化学部門は、魅力的な成長と収益可能性を秘めた利益率の高い事業に組織的に集中していきます。何よりもまず、世界的なメガトレンドであるエネルギーの効率化、健康と栄養、テクノロジーのグローバル化の分野 で功績を上げていきたいと考えています。

2009 年の各部門の業績

化学部門

2009 年における化学部門の業績は大幅に変動しました。当初は上向きの兆候が見られましたが、特に自動車、建設、プラスチック産業向けの事業は経済危機の影響を強く受けました。一方、消費財、医薬品、動物飼料セクター向けの製品の 需要は良好となりました。化学部門の売上は15%縮小して99 億7,800 万ユーロ となりました(2008 年は117 億6,200 万ユーロ)。流動性や収益、またコスト削減といった抜本的な対応策のおかげで、昨年半ばに計上されたEBITDA の前年比33%減は、年末までにほぼ完全に解消されました。化学部門の2009 年のEBITDA は16 億200 万ユーロとなり、前年比1%減にとどまりました。またROCEは10.3%に増加しました(2008 年は9.9%)。

海外での新たな成長の兆し:2009 年に中国の上海でポリマー、ポリマー半製品、塗装系の新しい生産複合体の操業が開始されました。2 億5,000 万ユーロの費用をかけて建設されたこの施設は、これまで化学部門が手がけたなかで2 番目に 大規模な投資プロジェクトです。製品は、最新のフラットスクリーン・ディスプレイ向けのLED などに使用されます。

エネルギー部門

エネルギー部門の2009 年の売上は、前年の33 億9,900 万ユーロから25%下落し、25 億5,800 万ユーロとなりました。主な要因として、2008 年に1 トン当たり220ドルのピークを記録した無煙炭価格の大幅な下落が挙げられます。2009 年の価格帯は62 ドルから81 ドルでした。また、2009 年の経済危機により、石炭取引と電力の需要も減少しました。それにも関わらず、エボニックはコスト削減によりEBITDA の下落を縮小することに成功しました。その結果、EBITDA は2008 年の 5 億1,700 万ユーロと比べて2009 年は19%の減少のみで、4 億1,800 万ユーロとなりました。収益に影響を与えた主な下落要因は、2009 年上半期の大幅な価格下落に起因する石炭在庫の単発的な減損でした。ROCE は前年の13.2%から9.7%に下降しました。

ドイツのデュイスブルク・ヴァルサムに建設された革新的な790 メガワットの無煙炭燃焼火力発電所は、まもなく操業を開始します。この発電所(「ヴァルサム10」)には総額8 億2,000 万ユーロが投資されています。ヨーロッパ最先端となる無煙炭燃焼発電所は、2009 年夏に耐圧試験に合格しており、2010 年に稼働を開始します。ヴァルサム10 の効率は45%を超えます。最大負荷時には、同じ定格出力をもつ他の無煙炭燃焼火力発電所よりも原料が20%少なくて済むため、二酸化 炭素の排出量が20%削減されることになります。

不動産部門

不動産部門は2009 年に安定した業績を上げました。売上は前年の3 億7,500 万ユーロから3 億7,800 万ユーロに増加しました。EBITDA は前年の2 億1,700 万ユーロから16%下落し、1 億8,300 万ユーロになりました。ただし、2008 年の値は営業用不動産の売却による特別収入によって押し上げられています。この収入に対する調節を行うと、下落率は1ケタ前半となります。ROCE は7.3%でした(2008年は9.2%)。

不動産部門はおよそ6 万軒の住宅ユニットを所有、管理しています。また同部門は、7 万軒以上の住宅ユニットを所有しているTHS 社の株式の50%を取得しています。2009 年の需要ベースの空き室率は2.4%であり、このビジネスセクターの基準によると貸借状況は非常に良好といえます。

研究開発が革新を強力に後押し

経済危機にも関わらず、エボニック グループは2009 年に3 億ユーロの研究開発費を支出しました(2008 年は3 億1,100 万ユーロ)。このような高額の投資が継続的に行われているのを見ると、エボニックが将来における収益性の高い成長基盤として研究開発部門を特に重視していることが分かります。

研究開発における成功例に、大規模リチウムイオン電池用のセルの連続生産を 可能にする専有技術の開発があります。近年、エボニックはこの分野に約1 億ユーロの資本を投下しています。高性能SEPARION®セパレーターを利用した蓄電 技術は、多数の特許により保護されており、2009 年にCERIO®の商標名にまとめられました。エボニックはヨーロッパにおける、大規模リチウムイオン電池用セルと部品の製造企業のトップになることを目標に掲げています。

2009 年第4 四半期の業績

前月までに記録された需要の改善は、2009 年第4 四半期も持続しました。グル ープの売上は2009 年第3 四半期から5%増加し、34 億8,600 万ユーロになりま した。一方、売上は前年同期比8%減となりました。この減少は主に、石炭価格の下落により売上が29%減の7 億900 万ユーロになったエネルギー部門に起因し ています。売価は下落しましたが、需要の大幅な拡大に支えられて、第4 四半期の化学部門の売上は1%増加し、26 億6,200 万ユーロになりました。不動産部門は5%減の9,900 万ユーロの売上を計上しました。

エボニック グループの2009 年第4 四半期のEBITDA は5 億5,700 万ユーロとな り、前年同期の3 億5,100 万ユーロから59%上昇しました。これは、化学部門の 需要拡大に加え、グループ全体のコスト削減に起因しています。化学部門の
EBITDA は、主に利益幅とコスト削減の改善の結果として、88%増の4 億3,500
万ユーロになりました。エネルギー部門のEBITDA は62%増加して1 億5,300 万 ユーロになり、不動産部門のEBITDA は前年同期から減少して5,000 万ユーロを計上しました(2008 年第4 四半期は5,600 万ユーロ)。エボニック グループ全体のEBITDA マージンは、2009 年第4 四半期に16.0%に増加しました(2008 年第4 四半期は9.2%)。

2008 年第4 四半期に計上した3 億1,100 万ユーロの赤字に対し、2009 年第4 四半期の純利益は2,900 万ユーロになりました。

良好な業績と流動性を守る対策が成功したおかげで、2009 年第4 四半期の営業活動のキャッシュフローは8 億3,300 万ユーロとなりました(2008 年第4 四半期 はわずか5,500 万ユーロ)。

2010 年の展望

エボニックは自信をもって2010 年に臨んでいます。グループは幸先の良いスタートを切ることができました。1 月と2 月の販売高と売上は2008 年を下回っているものの、売上と収益を示すあらゆる指標は、昨年の数値を十分に上回っています。 2010 年の経済的な展望は依然として不確実性に彩られており、たくさんの疑問符が残されています。しかし、販売高の好転を見ると、2010 年の売上は2009 年を 上回る見込みです。エボニックの目標は、少なくとも昨年と同レベルのEBITDA を保持することです。予想される事業の改善を視野に入れながら、2009 年と比べて設備投資を大幅に強化する予定です。

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エボニック インダストリーズについて

エボニック インダストリーズはドイツのクリエイティブな産業グループです。私たちのコアビジネ
スであるスペシャルティケミカルでは世界的リーダーとなっています。またエボニックは無煙炭や
再生可能エネルギーによる発電事業のエキスパートであり、ドイツでは最も大きな個人向け民
間不動産会社のひとつです。私たちの業績は創造性・専門性・自己革新力・信頼性によって作
り上げられています。

エボニック インダストリーズは世界100ヶ国以上で活動しており、2009年度は39,000人の社
員を有し、総売上高は131億ユーロ、EBITDA(金利・税金・償却前利益)は20億ユーロを計上
しました。

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