Press release
Japan
August 31, 2012

2012年上半期/第2四半期 業績発表

業績は好調―2012年通期は楽観的見通し

• クラウス・エンゲル取締役会会長 「厳しい業況ながらも順調に推移。」

• 2012年上半期の業績は好調
 M&Aなどといった外的要因を含まない本業の売上高は69億ユーロで安定。カーボンブラック事業の投資引上げにより前年比8パーセント減
 調整後の金利・税金・償却前利益(EBITDA)と調整後の金利税引前利益(EBIT)は、それぞれ13億6,600万ユーロと10億4,900万ユーロで好調を維持。
 調整後のEBITDAマージンは19.7%で非常に高く推移。

• 純利益は5億3,300万ユーロを計上し、前年比微増

• 設備投資が31%増 - 成長プロジェクトを推進

• 2012年度の通期見通しを確認―売上は微増、営業成績は2011年の高水準と同等、または2011年をやや上回る見込み。


エボニック インダストリーズ(ドイツ・エッセン)は本日、2012年第2四半期と上半期の業績発表を行いました。クラウス・エンゲル取締役会会長は、「エボニックは好調な業績を維持しています。業況は厳しさを増していますが、弊社は順調に推移しています」と述べています。2011年7月に投資を引き上げたカーボンブラック事業の影響に対する調整後、営業成績は2011年上半期の数値にほぼ達しており、売上は前年比微増となりました。「ビジネス環境は競争が激化しリスクが増大していますが、スペシャリティケミカル事業については楽観視しています。しかし、これ以上の景気の低迷は願い下げです」とエンゲル会長。「On Track 2.0効率向上プログラムの一環として2012年春にスタートさせた対策を組織的に実施し、コスト管理と成長目標の達成を目指します」とエンゲルは強調しています。

2012年上半期の業績
第2四半期末にかけて、ヨーロッパを中心に一部のビジネス分野で需要の微減が見られるも、2012年上半期も好業績を維持しました。

2012年上半期の本源的売上高は安定しており、グループの売上は69億3,500万ユーロを計上しました。売上高の2ポイント下落は、売価の上昇(+2ポイント)で相殺されました。その他の影響―主にカーボンブラック事業の連結免除に起因―による10ポイント減少と外貨換算のプラス影響(+2ポイント)を合わせると、総売上は前年比8%減となりました(2011年上半期:75億7,700万ユーロ)。

調整後EBITDA1は13億6,600万ユーロを計上。2011年上半期(14億9,700万ユーロ)比9パーセント減の原因は、カーボンブラック事業の収益が売上から除外されたことと、需要の微減です。調整後EBITDAマージンは19.7パーセントを記録し、2011年上半期(19.8パーセント)の高水準を持続しています。一方、調整後EBITは10パーセント下落し、10億4,900万ユーロとなりました(2011年上半期:11億6,400万ユーロ)。

8,100万ユーロに達する調整の主な内訳は、太陽光発電産業の競争激化によるエネルギー効率化セグメントでの資産減損です。継続事業の所得税前収益は7パーセント減少し、7億9,300万ユーロを計上しました(2011年上半期:8億5,200万ユーロ)。非継続事業の所得税前収益は1,400万ユーロで、主に前期までに売却された非中核事業の投資引上げ後収入に起因しています。純利益は、前年同期比2パーセント増の5億3,300万ユーロでした(2011年上半期:5億2,500万ユーロ)。営業外の影響に対する調整を行うと、調整後の純利益は6億200万ユーロとなり、2011年上半期(7億6,500万ユーロ)比21パーセント減でした。この数字には、カーボンブラック事業からの相当の収益寄与が含まれています。

継続事業のキャッシュフローは3億8,900万ユーロに達し、前年同期(4億ユーロ)と同程度でした。収益の低下は、正味運転資本の緩やかな成長により基本的に相殺されています。設備投資は、前年同期比31パーセント増の3億9,100万ユーロを計上しました(2011年上半期:2億9,900万ユーロ)。

純負債は、2011年末から4億5,900万ユーロ増加し、13億200万ユーロを計上しました。これは主に高額の設備投資と、2012年4月に支払われた2011年分の4億2,500万ユーロの配当金に起因しています。営業活動のキャッシュフローは相殺効果を有しています。

成長プロジェクトを推進
エボニックは、2012年上半期に主要プロジェクトを推し進めました。中国の上海ではイソホロンとイソホロンジアミンの製造工場の起工式が挙行されました。2014年までに、同施設に1億ユーロ超の資本を投下します。イソホロンとイソホロンジアミンは、工業用フローリングと風力タービンに使われる回転翼の羽根の主成分です。さらに中国の吉林省では、過酸化水素工場に礎石を据え付けました。この生産施設に対する総投資額も、1億ユーロを上回る見込みです。同施設の完成は2013年末から2014年初めに予定されています。8月初旬には、シンガポールの新しいメチオニン複合施設の着工を記念し、象徴的な鍬入れ式を執り行いました。成長するアジア市場でエボニック初となる世界規模の飼料添加物生産施設は、建設費5億ユーロ以上を要し、スペシャリティケミカルとしては過去最大の単独投資となります。南米と東欧では、飼料添加物Biolys®の生物工学的生産に向けた新しい施設の建設を計画しています。また、米ネブラスカ州ブレアでは、2012年末までに施設拡張工事が完了する見込みです。Biolys®に対する総投資額は、3億5,000万ユーロ前後になる見通しです。さらにエボニックは、急速に拡大する中東市場向けに高吸収性樹脂の生産とマーケティングを行う合弁事業を設立しました。

2012年第2四半期も好調を持続
グループの売上は、2012年第2四半期に9パーセント減少し、34億7,900万ユーロを計上しました(2011年第2四半期:38億2,100万ユーロ)。主な要因は、2011年7月に投資引上げしたカーボンブラック事業の連結免除です。本源的売上高は前年同期比ほぼ変わらず、売上高は微減(-1パーセンテージ)するも、売価は安定しています。グループの調整後EBITDAは、6億7,400万ユーロでした。前年同期(7億2,600万ユーロ)比7パーセント減は、連結されていないカーボンブラック事業の収益寄与に主に起因しています。調整後EBITDAマージンは、19.4%と非常に高レベルで推移しています。一方、調整後EBITは、8パーセント減の5億1,600万ユーロとなりました(2011年第2四半期:5億6,000万ユーロ)。純利益は、前年同期から大幅にアップし、2億6400万ユーロを計上しました(2011年第2四半期:9,400万ユーロ)。ただし、前年の数字は、投資引上げによる1回限りの高額回収の影響を受けています。これらの営業外の影響に対する調整を行うと、純利益は2億7,000万ユーロから1億3,100万ユーロに縮小しました。

2012年上半期の各区分の業績
コンシューマー、ヘルス&ニュートリション
コンシューマー、ヘルス&ニュートリションセグメントは、主に消費財、動物栄養、医薬品セクター用途のスペシャリティケミカルを生産しています。この区分は、コンシューマースペシャリティ事業ユニットとヘルス&ニュートリション事業ユニットで構成されています。

売上は、生産高と売価の微増、外貨換算のプラス影響に後押しされ、前年同期比6パーセント増の20億8,600万ユーロを計上しました(2011年上半期:19億7,700万ユーロ)。営業成績は、2011年上半期に記録した高水準をやや上回りました。調整後EBITDAは、1パーセント増の5億4,300万ユーロ(2011年上半期:5億3,600万ユーロ)、調整後EBITは、2パーセント増の4億8,100万ユーロ(2011年上半期:4億7,300万ユーロ)となりました。調整後EBITDAマージンは26.0パーセントで、非常に高い水準を維持しています(2011年上半期:27.1パーセント)。

リソース効率化
リソース効率化セグメントは、環境にやさしいエネルギー効率の高い製品向けのソリューションを提供しています。インオーガニックマテリアル ビジネスユニットとコーティング&アディティブ ビジネスユニットから構成されています。

売上は、前年同期比31パーセント減の16億5,100万ユーロ(2011年上半期:23億7,600万ユーロ)でした。主な要因は、カーボンブラック事業の投資引上げです。カーボンブラック事業を除外すると、売上は生産高の減少に起因して2パーセント減となりました。2012年上半期の営業成績は、カーボンブラック事業の収益の連結免除と需要の下落により減少しました。総体的にみると、調整後EBITDAは、27%減の3億4,000万ユーロ(2011年上半期:4億6,700万ユーロ)、調整後EBITは、32パーセント減の2億6,600万ユーロ(2011年上半期:3億9,100万ユーロ)となりました。調整後EBITDAマージンは20.6パーセントで、2011年上半期の19.7パーセントから上昇しました。特記すべき点として、前年は連結されていたカーボンブラック事業の調整後EBITDAマージンは、平均を下回っています。

スペシャリティマテリアル
スペシャリティマテリアルセグメントは、ポリマー材料とその半製品、添加剤の生産が中核を占めています。この区分は、パフォーマンスポリマー ビジネスユニットとアドバンスト・インターメディエイト ビジネスユニットから構成されています。

売上は前年同期を若干上回り、25億300万ユーロ(2011年上半期:24億9,300万ユーロ)でした。売価の上昇と外貨換算のプラス影響のおかげで、需要減とドイツ・マールのCDT工場の火災に起因する生産不足による生産量減が相殺されました。営業成績をみると、火災による収益減は保険金支払いにより基本的に埋め合わされます。ヨーロッパを中心とする需要の低迷により、営業成績は前年の非常に高い水準を下回りました。調整後EBITDAは、5パーセント減の4億5,200万ユーロ(2011年上半期:4億7,700万ユーロ)、調整後EBITは、6パーセント減の3億7,500万ユーロ(2011年上半期:3億9,700万ユーロ)となりました。その結果、調整後EBITDAマージンは、2011年上半期の19.1パーセントから2012年上半期は18.1パーセントに下落しました。

サービス
サービス区分は、主にスペシャリティケミカル区分およびコーポレートセンターにセントラルサービスを提供しています。基本的にケミカル事業の内販を担当していますが、わずかながら第三者にもサービスを提供しています。

2012年上半期のサービス区分の総売上は、13億5,800万ユーロでした。そのうち8億5,700万ユーロは内販が占めています。外販は6パーセント増加して5億100万ユーロを計上しました。調整後EBITDAは11パーセント増の9,700万ユーロ、調整後EBITは15パーセント増の5,400万ユーロでした。

不動産
エボニックが中期的に完全に手放すことを計画している不動産区分は、主にドイツのノルトライン・ウェストファーレン連邦州で一般世帯に住宅を賃貸しています。

エボニックの住宅用不動産ポートフォリオに加え、この事業区分は独THS社の株式50パーセントを所有しています。2012年1月1日、エボニックとTHS社は互いの保有財産の運営管理をVivawest Wohnen合弁会社に統括する取り決めを交わしました。その結果、これまで不動産区分が報告していた売上の一部が連結されなくなりました。2012年初頭から、これらの売上は、自己資本として認められたVivawest Wohnen合弁会社に計上されるようになり、不動産区分の売上に含められなくなりました。営業成績に大きな影響は見られません。

このため、2012年上半期の売上は、前年同期比約50パーセント減の1億ユーロとなりました(2011年上半期:1億9,800万ユーロ)。営業成績は、THS社の自己資本利益における繰延税金資産の再評価による2,000万ユーロの1回限りの影響が含められた前年を下回りました。その結果、調整後EBITDAは23パーセント減の8,700万ユーロ(2011年上半期:1億1,300万ユーロ)、調整後EBITは28パーセント減の6,400万ユーロとなりました。



2012年通期業績の見通し
2012年の通期見通しを評価するにあたり、2011年7月末に投資引き上げするまで、エボニックの2011年の決算報告書にカーボンブラック事業が含まれていたことを特記しなければなりません。比較可能性を高めるため、エボニックの通期見通しは、カーボンブラック事業を除いた数字に基づいています。

政情不安と全般的な経済不安が増大しています。エボニックは、欧州ソブリン危機の関連リスクは拡大すると予測しています。ヨーロッパでは、すでに需要減退の最初の兆候が表れています。また、ヨーロッパと一部の新興市場では、成長見通しが衰退しています。

このような業況にも関わらず、エボニックはスペシャリティケミカル事業の見通しを楽観視しています。業況の厳しさが増すことを視野に入れ、エボニックグループはOn Track 2.0効率向上プログラムの下でスタートした対策を組織的に実施しつづけます。通期的にみると、エボニックの2012年度の売上は微増する見通しです。営業成績は2011年の高水準と同程度、または2011年をやや上回ると予測しています。

1 同業者が使用している用語に合わせ、2012年初頭より営業外収入、EBITDA(営業外収入前)、EBIT(営業外収入前)は、各項目の構成は変えずに調整、調整後EBITDA、調整後EBITに変更しました。さらに、調整後純収入等、これ以外の調整指標も算出しています。


(このプレスリリースは2012年8月8日にドイツで発表されたものの翻訳版です)