2013年エボニック グループ業績発表
戦略的に成功を収めた2013年 – 厳しい市況下で堅調な業績
- 2013年の業績:
・グループの売上高は129億ユーロ、既存事業の売上高はほぼ安定して推移。
・調整後EBITDAは20億ユーロと、前年度の極めて高い水準からは減少。主に
販売価格の変化が影響。
・調整後EBITDAマージンは15.6パーセントと高い水準を維持。 - 当期純利益は前年比76パーセント増の21億ユーロを計上。不動産部門の売却
益が寄与。 - 設備投資は前年比18パーセント増の11億ユーロを計上。
- 研究開発費は3億9,400万ユーロと高水準 - 売上高研究開発比率3.1パーセ
ント。 - 2013年の配当案:一株当たり1.00ユーロ(2012年:0.92ユーロ)。
- 2014年の見通し:売上高は微増の見込み(2013年:129億ユーロ)、調整後
EBITDAは18億ユーロから21億ユ ーロの間と予測(2013年:20億ユーロ)。
エボニック インダストリーズ(ドイツ・エッセン)は3月7日に業績発表を行い、クラウ
ス・エンゲル取締役会会長は、次のように述べました。「エボニックは昨年、証券取引
所への上場を果たしました。また夏には不動産部門における大半の持分を売却し、今
後もスペシャルティケミカル企業としてしっかりと先を見据えていく所存です。2013年
は成長戦略の上で大きな前進が見られました。当社の投資案件の中でも先駆けとな
る大型プロジェクトは完了しました」。
2013年の経済的状況は、全般的に見て予想以上に厳しいものでした。販売数量が
増加した一方で、販売価格が下落したことが業績の低下につながりました。エンゲル
は、「厳しい市況の中においても、当社の業績は堅調だった」と語り、次のように強調し
ています。「今後もオペレーションや管理面での効率性をさらに高めて、体系的にコス
トの改善を図っていきます。そうした対応が当社の競争力と利益率の高い成長を維持
する戦略の下支えとなるでしょう」。
エボニックは、2014年の売上高が前年比で若干増(2013年:129億ユーロ)になる
と予測しており、調整後EBITDAは18億ユーロから21億ユーロの間(2013年:
20億ユーロ)になると見込んでいます。
2013年の業績
売上高はグループ全体でほぼ安定して推移 – 業績は堅調
2013年は当社にとって重要であるアジアや北米地域における経済成長の低迷によ
り、当社の最終顧客の業界ひいては当社の業績がその影響を被りました。ヨーロッパ
で長引く低迷の影響も受けました。こうした厳しい市況によって、販売価格に対し大き
な圧力がかかり、一部の事業では価格が大幅に崩れました。それとは対照的に世界
規模において、需要に依然として力強さが見られたのは大いに勇気づけられることで
あり、その結果特に2013年下期の販売数量は前年同期比で明らかに増加しました。
既存事業における2013年のグループ売上高はほぼ安定して推移し、前年比でわず
かに1パーセント減少しました。この減収は主に販売価格の低下(-5ポイント)が要
因ですが、販売数量は増加(+4ポイント)しています。主に2012年の2件の小規
模事業の売却に起因するその他の要因(-2ポイント)と為替相場の影響(-1ポイン
ト)とが相まって、グループ全体の売上高は4パーセント減の128億7,400万ユー
ロ(2012年:133億6,500万ユーロ)となりました。
今年度の事業収益は、前年度達成した水準には届きませんでしたが、これは主に一
部の主要事業で販売価格が下落したことによります。全体として、調整後EBITDAは
19パーセント減の20億700万ユーロ(2012年:24億6,700万ユーロ)、調整後
EBITは25パーセント減の14億2,400万ユーロ(2012年:18億8,700万ユー
ロ)でした。調整後EBITDAマージンは15.6パーセント(2012年:18.5パーセン
ト)となり、引き続き好調な水準を保っています。
純利益は大幅に改善
継続事業の税引前利益は、46パーセント減の8億3,600万ユーロ(2012年:15
億5,600万ユーロ)となりました。これは、業績が芳しくなかったことと一回限りの調
整費用が大きくなったためです。マイナス3億3,300万ユーロの調整が、営業外利
益と元来一回限りか稀である費用項目のネットバランスとなっています。その主な内
訳は、再編費用、その中でも特に管理部門およびサービス部門の効率化に関わる費
用とスペシャルティマテリアルズ部門の生産工場閉鎖に関連した費用、エネルギー効
率化部門およびスペシャルティマテリアルズ部門の生産工場に関する減損損失、そし
て、かつての非中核事業の売却に関係した費用などを含むその他の費用となります。
非継続事業の税引前利益は総額13億9,700万ユーロ(2012年:6,500万ユー
ロ)で、その内訳は主に2013年7月に完了した不動産部門の過半数の株式の売却
益となっています。そのため、純利益は76パーセント増の20億5,400万ユーロ
(2012年:11億6,500万ユーロ)となりました。
こうした業績の結果、調整後当期純利益(調整と非継続事業いずれの要因も含まれな
いため、不動産部門の売却益は含まれていない)は23パーセント減の8億3,000
万ユーロ(2012年:10億7,600万ユーロ)でした。調整後の一株当たり利益は、
2.31ユーロから1.78ユーロに下がりました。
2014年5月20日に開催される年次株主総会で、取締役会と監査役会は一株当た
り1.00ユーロ(2012年:0.92ユーロ)の配当を提案する予定です。
高い資本収益 – 最初の大型成長プロジェクトが完了
使用資本利益率(ROCE)が14.5パーセントであるエボニックは、税引前で10.5パ
ーセントの資本コストを大幅に上回る高い利益を投下資本から生み出しました。極め
て高かった前年の水準(20.4パーセント)から下がった要因の一つには、営業収益の
減少と、調整後EBITには影響がまだ及んでいない設備投資に伴う資本支出の増加
が挙げられます。
2013年の継続事業の営業活動によるキャッシュフローは、前年比3億900万ユー
ロ減の10億8,600万ユーロでした。非継続事業のキャッシュフローを含めた場合の
営業活動によるキャッシュフローは、3億3,700万ユーロ減の10億8,300万ユー
ロでした。資本支出は前年比18パーセント増の11億3,500万ユーロ(2012年:9
億6,000万ユーロ)でしたが、これは主に戦略的成長プロジェクトのためです。
現在、エボニックは総額60億ユーロ超の投資プログラムに取り組んでいます。最初
の大型プロジェクトは、2013年に完了しました。そうしたプロジェクトには、サウジアラビ
アのジョイントベンチャーパートナーと建設した高吸収性樹脂の製造プラントや上海
(中国)における特殊界面活性剤の生産設備などが関わっています。吉林(中国)の過
酸化水素製造プラントは2014年初めに完成し、シンガポールの新しいメチオニンプ
ラントは2014年下期に操業を開始する予定です。
現在計画されている他の投資プログラムに関しては慎重な姿勢で臨み、市況変化の
ためまだ着手されていないプロジェクトについても検討をしていく予定です。投資案件
のための資金に関してはその大半をキャッシュフローでまかなうことを意図しており、
そのため、2014年の資本支出は上限を14億ユーロとして予算が組まれています。
財務状況の大幅な改善
エボニックは、財務状況を大幅に改善しました。2012年末時点では11億6,300万
ユーロの純金融負債を抱えていましたが、2013年末時点では5億5,200万ユーロ
の純金融資産を有しています。これは、主に不動産部門の売却とそれに伴う部門の
非連結化によるものです。
研究開発の更なる加速化
その戦略的重要性から、研究開発費は2009年以降平均して年率9パーセントの割
合で増え続けてきました。2013年の総額は、前年の3億8,200万ユーロから増額
となり3億9,400万ユーロを計上しました。売上高研究開発比率は3.1パーセント
でした。魅力的なイノベーションが、今後もエボニックの成長戦略の下支えとなるはず
です。研究開発パイプラインは、500件近いプロジェクトを擁する豊富な内容となって
います。最近の研究開発の重点事項としては、養殖用飼料添加物として利用可能な
新しいアミノ酸、窓用の高透過性の断熱材、自動車業界等向けのポリアミド12を生
み出す、石油由来のラウリンラクタムの代替としてのバイオベースのアミノラウリン酸
などが挙げられます。
2013年度の部門別概況
コンシューマー、ヘルス&ニュートリション部門
コンシューマー、ヘルス&ニュートリション部門は、消費財、畜産動物の栄養に関連す
る製品、医薬品セクター用途のスペシャリティケミカルを生産しています。この部門は、
コンシューマースペシャリティ ビジネスユニットとヘルス&ニュートリション ビジネスユ
ニットから構成されています。
販売数量の著しい伸長および高い収益
旺盛な世界需要や新しい生産能力のおかげで、コンシューマー、ヘルス&ニュートリ
ション部門は販売数量で著しい伸長を果たしました。とりわけ、高吸収性樹脂とパーソ
ナルケア製品の需要は明らかに高まっています。動物飼料用アミノ酸を中心として全
体の販売価格が下がっているため、同部門の売上高は前年(2012年:42億400
万ユーロ)と同水準の42億700万ユーロでした。
このように業績自体は好調だったものの、一部事業における販売価格下落のため極
めて好調だった前年度の事業収益には及びませんでした。調整後EBITDAは14パ
ーセント減の9億1,000万ユーロ(2012年:10億5,500万ユーロ)で、調整後
EBITは17パーセント減の7億6,700万ユーロ(2012年:9億2,900万ユーロ)
でした。調整後EBITDAマージンは、21.6パーセント(2012年:25.1パーセント)と
なり極めて良好な水準を保ちました。ROCEは、34.3パーセント(2012年:48.7パ
ーセント)となっています。
エネルギー効率化部門
エネルギー効率化部門は、環境にやさしいエネルギー効率に優れたソリューションを
提供しています。この部門は、インオーガニックマテリアルズ ビジネスユニットとコーテ
ィングス&アディティブス ビジネスユニットのビジネスユニットで構成されています。
既存事業の売上高伸長 – 高い調整後EBITDAマージン
エネルギー効率化部門の売上高は、2012年(31億3,100万ユーロ)と比べて2パ
ーセント減となる30億8,400万ユーロでした。これは、主に為替相場の影響と
2012年4月末に投資を引き上げた着色料事業の影響によるものです。これらの要
因を調整した場合、同部門の既存事業の売上高は販売数の伸長と一定した販売価格
が下支えとなり高まっています。フュームドシリカと特殊酸化物の売上は、高い需要と
生産能力を十分生かしたことにより、特に好調でした。とりわけヨーロッパやアジアを
中心としたタイヤ・ゴム業界のシリカとシランに対する需要増が、当該製品の好業績を
もたらしています。同部門では、自動車、建設および運輸業界向けの潤滑油添加剤に
加えて、コーティング業界や各種バインダーの旺盛な需要が続いています。
エネルギー効率化部門の事業収益も非常に良い結果となっています。調整後
EBITDAは6億5,600万ユーロで、6億6,300万ユーロという前年度の水準にほ
ぼ匹敵しています。調整後EBITは3パーセント増の5億4,000万ユーロ(2012
年:5億2,600万ユーロ)でしたが、これは主に減価償却費が対前年度比で減少した
ためです。調整後EBITDAマージンは、21.2パーセントから21.3パーセントへ若干
高まりました。ROCEは、33.0パーセントから35.7パーセントへと改善しています。
スペシャルティマテリアルズ部門
スペシャルティマテリアルズ部門は、主にゴム・プラスチック業界向けとなるポリマー材
料や中間体の生産がその中核を占めています。この部門は、パフォーマンスポリマー
ズ ビジネスユニットとアドバンスト・インターミディエイツ ビジネスユニットから構成され
ています。
販売価格の大幅な下落 -売上高および事業収益ともに対前年比で減少
スペシャルティマテリアルズ部門の売上高は、7パーセント減の44億9,000万ユ
ーロ(2012年:48億4,300万ユーロ)となりました。これは、2012年12月に中国で
の塩化シアヌル酸事業から撤退したことに加えて、特にブタジエンを中心とした販売価
格の急落により既存事業の売上高が落ち込んだためです。それとは対照的に、販売
数量は2013年初頭にマール(ドイツ)のCDTプラントで生産が再開したことに支え
られてかなり増加しました。過酸化水素事業は安定しており、特にエボニックと
ThyssenKrupp Uhdeが開発したHPPOプロセスを用いた応用分野を中心として
需要が高まっています。バイオディーゼル生産用のアルコラートの需要も活況が続い
ています。
この部門の事業収益は極めて好調だった前年の水準を下回りましたが、これは主に
販売価格が下落したためです。調整後EBITDAは35パーセント減の5億5,200
万ユーロ(2012年:8億5,300万ユーロ)で、調整後EBITは44パーセント減の3
億9,500万ユーロ(2012年:7億100万ユーロ)でした。調整後EBITDAマージン
は、前年の17.6パーセントから下がって12.3パーセントとなっています。ROCEは、
収益減と平均使用資本増のため38.7パーセントから19.6パーセントに下がりまし
た。
サービス部門
サービス部門は、主にケミカル部門とコーポレートセンター向けのサービスを提供して
いますが第三者へのサービスも手がけています。
同部門の2013年売上高は、総額26億8,000万ユーロでした。内販が総額のうち
17億6,400万ユーロを占めています。外販は需要上の理由から8パーセント減の
9億1,600万ユーロでしたが、これは主に、顧客先の一つがマールにある生産設備
を閉鎖したためです。事業収益が上向いたのは、主に各現場におけるコスト管理の改
善がその下支えとなっています。調整後EBITDAは5パーセント増の1億8,200
万ユーロとなり、調整後EBITは12パーセント増の8,700万ユーロでした。
エボニックグループ:2013年第4四半期
既存事業の売上高伸長
2013年第4四半期も、販売数量は好調に推移し続けました。エボニックグループの
既存事業の売上高は大幅な販売数量の増加(+8ポイント)が原動力となり2パーセ
ント増となりましたが、販売価格は下落しました(-6ポイント)。グループ全体で見た
場合、売上高は1パーセント減の31億3,500万ユーロでした。これは、為替相場
の影響(-1ポイント)と、2012年の業績には2012年に売却した中国の過酸化水
素事業を含むその他要因(-2ポイント)によるものです。
グループ全体の事業収益は前年度の極めて好調な結果を下回りましたが、これは主
に一部の主要事業分野で販売価格が下がったためです。調整後EBITDAは前年比
15パーセント減の3億8,600万となり、調整後EBITは26パーセント減の2億
2,900万ユーロでした。調整後EBITDAマージンは12.3パーセントでしたが、これ
は前年度の14.2パーセントを下回っています。当期純利益は63パーセント減の1
億300万ユーロで、調整後当期純利益は20パーセント減の1億2,700万ユーロ
でした。
効率性向上への集中的取り組み – Administration Excellenceを始動
2012年初めに導入されたOn Track 2.0効率性向上プログラムは、順調に進行し
ています。このプログラムは、主に生産プロセスの一層の効率化を図ることを目的とし
たものです。プロジェクト開始から24カ月がたち、2016年末に予定されている年間
5億ユーロのコスト削減のうち年間2億8,000万ユーロ超を達成するべく、プロジェ
クトにおける数々の取り組みがすでに実施されています。
株式上場を成功させ、スペシャリティケミカル事業への集中を果たした後、競争力をさ
らに強化し管理部門におけるプロセスの質を向上させるため、エボニックは2013年
9月にAdministration Excellenceプログラムを始動させました。このプログラム
により、2016年末までに年間2億5,000万ユーロに及ぶコスト削減が図られます。
Administration Excellenceプログラムの取り組みの第一段階は、2013年下期
に実施されました。
2014年の見通し
エボニックでは、2014年のグループ全体の成長は主に先進諸国が下支えとなり若
干持ち直すと予測しています。ただし、中央銀行が金融政策引き締めに打って出るか
という点については依然としてかなりの不透明感があり、その動向によっては特に新
興市場を中心として成長が妨げられる可能性があります。
売上高および収益
経済状況がわずかながら上向きになることを前提として、エボニックは2014年の売
上高が若干増(2013年:129億ユーロ)になると予測しています。2013年下期に見
受けられた好調な販売数量の動向は2014年も続く見通しで、最初の成長プロジェク
トの完了が下支えとなり販売数量はさらに増加するものと思われます。
2014年の販売価格は、当社製品ポートフォリオの大半の分野で少なくとも安定して
推移し続けることが見込まれます。それでも、一部の主要事業において2013年の平
均を下回る可能性もあります。これは、2013年上期に高い価格水準を維持していた
ことによりもたらされる影響です。
コスト面では、On Track 2.0効率性向上プログラムでさらに改善が見られるはずで
す。それに加えて、エボニックでは管理部門の効率化を目指すAdministration
Excellenceという新たな取り組みによっても、好影響が現れると予測しています。一
方、マイナス要因としては、成長投資のために増加した費用や為替相場の影響などが
挙げられます。
グループ全体で、調整後EBITDAが18億ユーロから21億ユーロの間(2013年:
20億ユーロ)になると見込んでいます。2014年の収益を比較する際には、2013年
初めの高い販売価格水準に起因した収益水準を念頭に置くことが求められます。
続きはPDFファイルにてご覧ください。
(このプレスリリースは2014年3月7日にドイツで発表されたものの翻訳版です)
エボニック インダストリーズについて
ドイツのクリエイティブな産業グループであるエボニックは、スペシャルティケミカルの世界的リーダーです。私たちの活動はヘルス・ニュートリション、エネルギー効率化、グローバリゼーションといった世界のメガトレンドに集中しており、企業の有益な成長と企業価値の増大は私たちが目指す戦略の大事な根幹となります。エボニックは革新的なプロセスと統合的な技術プラットフォームを強みとしています。
エボニック インダストリーズは世界100ヶ国以上で活動しており、2013年度は33,500人以上の社員を有し、総売上高は129億ユーロ、EBITDA(金利・税金・償却前利益)は20億ユーロを計上しました。
免責事項
このプレスリリースに記載されている見通しや期待、または将来の予測に関する記述は、既知または未知のリスクと不確実性を含む可能性があります。実際の結果や発展は事業環境の変化により異なる場合があります。エボニック インダストリーズ AGはこのリリースに含まれる見通し、期待、記述に関して、更新の義務を負いません。