2023年度通期業績発表/2024年度業績予想
エボニック、2023年度業績予想を達成し、2024年度は増益を見込む
エボニック インダストリーズ(本社:ドイツ、エッセン 以下「エボニック」)は、厳しい環境が続く中、夏に下方修正した2023年度の業績予想を達成しました。
- 2023年度業績:調整後EBITDAは16.6億ユーロ、売上高は153億ユーロ
- 2024年度業績予想:調整後EBITDAは17億ユーロから20億ユーロの範囲の見込み
- 「エボニック・テーラーメイド」プログラムの目標を策定: 管理職の削減、意思決定の迅速化
調整後EBITDA(支払利息・税金・減価償却費控除前利益)は16.6億ユーロで、目標の16億ユーロから18億ユーロの範囲内となりました。グループ全体売上高は17%減の153億ユーロで、これも目標の140億ユーロから160億ユーロの範囲内となりました。
取締役会長クリスチャン・クルマン(Christian Kullmann)は、「世界中で生じた多くの危機が、当社の業績にも悪影響を及ぼしました。全体としては、大きな打撃を回避することができました。これはひとえに全従業員の努力の賜物です。しかし、全般的な状況がこれ以上好転することはないでしょう。だからこそ、グループの抜本的な改革を続けていきます」と述べています。
流動性管理に注力したことが奏功し、2023年度のフリーキャッシュフローは、慎重な正味運転資本管理と投資規律により、前年度を上回る8.01億ユーロとなりました。フリーキャッシュフローの調整後EBITDAに対する比率であるキャッシュ・コンバージョン・レートは、昨年度の32%から48%に上昇しました。有形固定資産への投資は、昨年度の8.65億ユーロから7.93億ユーロに縮小しました。また、収益確保のための施策により、今年度は2.5億ユーロの削減目標を達成することができました。
最高財務責任者(CFO)のマイケ・シュー(Maike Schuh)は、「困難な状況下でまず重要なのは、資金を確保することです。このために私たちは常にアクションを起こしてきました。時に痛みを伴いましたが、成功したことも事実です。従って、今年度もこれまでの施策を継続します」と述べています。
取締役会は6月4日の年次株主総会において、1株当たり年間配当金を1.17ユーロに据え置くことを提案する予定です。これは約7%という非常に魅力的な配当利回りになります。「配当を継続することは、長期投資家にとって極めて重要です。健全なフリーキャッシュフローにより、厳しい環境下でも最高配当銘柄としての評価を維持できます」とシュー(Schuh)は述べています。
2023年度の販売数量は、厳しい状況を反映し8%減となりました。販売価格は3%下落しました。非常に高額の減損損失と構造対策の負担により、純損失は4.65億ユーロでしたが、その大半は9月30日までに発生したものです。一方、前年度は5.4億ユーロの純利益を計上しました。
2024年度中に景気が回復することは見込んでいないため、資本支出は約7.5億ユーロに抑えます。調整後EBITDAは17億ユーロから20億ユーロの範囲、売上高は150億ユーロから170億ユーロの範囲への増加を見込んでいます。キャッシュ・コンバージョン・レートは40%前後となる見込みです。
「たとえわずかな回復の兆しが見えたとしても、それに惑わされてはなりません。現在直面しているのは、周期的な変動ではなく、経済環境の大規模で重大な変化です。当社は、組織構造の改善に挑む『エボニック・テーラーメイド』プログラムによって、この課題に立ち向かっています」とクルマン(Kullmann)は述べています。
「エボニック・テーラーメイド」プログラムの第一段階は終了しました。数ヶ月間にわたり、エボニックのあらゆる構造とプロセスの分析を徹底的に行いました。この分析に基づき、2026年末までに新しい組織体制を構築する予定です。それに伴い、事業活動を直接サポートしない管理業務を廃止することを目指しています。同時に、重要な業務は新組織の中で一貫性を保った形で再編していきます。取締役会以下の階層数を最大6段階までに減らし、評価・承認手続きの大幅なスピードアップを目指します。グループ全体で、マネジャーの直属の部下は1~4名でしたが、今後はその人数が平均7名になります。
その結果、スリム化、迅速化が進むとともに、コスト構造も大幅に縮小されます。さらに人数が偏っている管理職を含め、全世界で最大2,000人の雇用が削減されます。人員調整の大部分、約1,500人の削減はドイツで行われます。2026年のプログラム終了後には、年間約4億ユーロのコスト削減を見込んでいます。この削減額の約8割は人員削減、残りは材料費の削減によるものです。「エボニック・テーラーメイド」の効果は、今年度中に表れる見通しです。
最高人事責任者兼労務担当取締役のトーマス・ヴェッセル(Thomas Wessel)は、「できる限り最高の結果を出すために、外部のコンサルタントを使わず、エボニック独自のオーダーメイドの道を選びました。2年後には、ダイナミックで効率的な、まったく違った組織になっていることは明らかです。エボニックが得意とする、共同目標に注力しお互いを尊重し合う公正な方法で、これを達成していきます」と述べています。
今後数週間で、取締役会と共同決定機関は、予定されている雇用削減をどのように社会的責任を果たす形で実施するかについて協議する予定です。
事業部門ごとの業績
スペシャルティアディティブス:
需要の低迷と顧客在庫の大幅な減少の影響を受けました。その結果、工場の稼働率低下、それに伴うマージンの圧迫が生じました。売上高は16%減の35.2億ユーロで、これは主に顕著な販売量の減少と為替のマイナス影響によるものでした。価格は安定して推移しました。建設・コーティング業界向け製品の需要が、全地域で減退しました。ポリウレタンフォームおよび耐久消費財用添加剤の売上高は、販売数量の減少と価格の若干の下落により減少しました。自動車用添加剤は販売数量が減少したものの、価格は安定的に推移しました。調整後EBITDAは29%減の6.73億ユーロ、調整後EBITDAマージンは前年の22.6%から19.1%に低下しました。
ニュートリション&ケア:
売上高は、主にアニマルニュートリション部の価格低下と為替のマイナス影響により、15%減の36.1億ユーロとなりました。同部の必須アミノ酸事業は大幅な価格下落となりましたが、下半期にはその傾向が鈍化しました。販売数量は微増となりました。全体として、アニマルニュートリション部の売上高は前年度を大幅に下回る水準で推移しました。ヘルスケア部では、価格がわずかに改善したものの、販売数量が減少したため減収となりました。化粧品業界向けの機能性成分は好調に推移しましたが、mRNAベースのワクチンに使用される治療薬用脂質の需要は減少しました。調整後EBITDAは43%減の3.89億ユーロ、調整後EBITDAマージンは前年同期(16.0%)を下回る10.8%となりました。業績の低迷を受けて、年初にアミノ酸の事業モデルを調整した結果、すでに顕著なプラス効果が現れています。2025年までに総額約2億ユーロの削減を見込んでいます。
スマートマテリアルズ:
需要の顕著な減退と為替のマイナス影響により、売上高は15%減の44.6億ユーロとなりました。価格は安定して推移しました。無機製品は、ほぼすべての市場セグメントで需要が減退したため大幅な減収となりました。環境に優しい過酸化水素製品は専門的用途において好調に推移しましたが、需要が低迷したため、アジアの生産設備は一時的に操業を停止しました。シリカは、自動車業界向けでは安定的に推移したものの、その他の市場では需要が低迷しました。高機能ポリマーは、新たな生産能力に支えられ、販売価格、数量とも増加となりました。調整後EBITDAは27%減の5.4億ユーロでした。また、高性能プラスチックであるポリアミド12の計画的なメンテナンス作業による操業停止も収益にマイナスの影響を及ぼしました。調整後EBITDAマージンは前年度(14.2%)を下回る12.1%となりました。
パフォーマンスマテリアルズ:
売上高は22%減の25.5億ユーロでした。前年度の売上には、2023年6月30日付で売却されたリュルスドルフの拠点の売上が含まれています。C4-統合生産品の事業では、販売数量が減少し、価格も大幅に下落しました。その結果、売上高は大幅な減少となりました。高吸水性樹脂の売上高も欧州の需要減により減少しました。調整後EBITDAは68%減の1.11億ユーロ、調整後EBITDAマージンは昨年度の10.8%から4.4%に低下しました。
(本プレスリリースは、2024年3月 4日付で本社から発行されたプレスリリースを翻訳しています。)
エボニック インダストリーズについて
エボニックは、100ヵ国以上で事業を展開するスペシャルティケミカルの世界的リーダーの1つです。2023年度は、153億ユーロの売上、16.6億ユーロの営業利益(調整後EBITDA)を計上しました。 革新的で収益性の高い持続可能なソリューションをお客様に提案するために、私たちは化学のその先を目指します。「毎日の暮らしを豊かに」という同じ目的のもと、33,000人以上の社員が働いています。
免責事項
このプレスリリースに記載されている見通しや期待、または将来の予測に関する記述は、既知または未知のリスクと不確実性を含む可能性があります。実際の結果や発展は事業環境の変化により異なる場合があります。エボニック インダストリーズ AGはこのリリースに含まれる見通し、期待、記述に関して、更新の義務を負いません。