持続的なサケの養殖を可能にするオメガ3脂肪酸の生産を新工場で開始
エッセン・ブレア:わずか2年間の建設期間を経て、エボニックとオランダのDSM社との合弁会社は、7月10日、新たな生産工場の稼働を米国で開始しました。新工場では、天然の藻を使って発酵を行い、健康に良いサケの養殖に必要な主要オメガ3脂肪酸を含んだ特別な藻類油の生産を行います。
折半出資による合弁会社ヴェラマリス(Veramaris)の親会社である両社は、対等な投資によりネブラスカ州ブレアに総工費2億米ドルとなる工場を建設しました。本工場における当初の藻類油生産量で、EPAとDHAという2つのオメガ3脂肪酸に対する世界のサケ養殖産業の年間需要の約15パーセントを持続的に満たすことができます。エボニックとDSM社が開発した独自のプロセスにより、天然の魚を由来とする魚油を一切使用せず、サケの飼料に使用するEPAとDHAを生産することが初めて可能になりました。
「2つの強力なパートナーがタッグを組むことで、ヴェラマリスは海洋への負荷を増やすことなく、世界の人口増加に対応しながら、画期的な方法で健康に良い栄養を供給することができるようになりました」と、エボニックの取締役会長クリスチャン・クルマン(Christian Kullmann)は述べています。DSM社のCEO兼取締役会長フェイケ・シーベスマ(Feike Sijbesma)は、次のようにコメントしています。「エボニックと共に、潮流を変える重要なマイルストーンに到達したことを嬉しく思います。ヴェラマリスによって、養殖産業の有限な魚油資源への依存を減らしながら、EPA、DHAという重要なオメガ3脂肪酸を生産することが可能になりました。これは、全ステークホルダーに対して経済的、環境的、社会的価値を創出すると同時に、世界最大の課題に取り組むことに重点を置いた我々の目標に基づくパフォーマンス主導型の戦略と完全にマッチしています。」
高い成長性を持つエボニックにとって、40を超える生産・研究開発拠点を構える北米は、戦略的に重要な地域と位置付けられています。この地域的な重要性に加え、今回の投資は、エボニックがグループの戦略的成長を支える4つの原動力の1つであるアニマルニュートリション事業の一環として行った取り組みです。エボニックグループは、アニマルニュートリションに加え、スマート素材、特殊添加剤、ヘルスケア事業への投資も重点的に行っています。
ヴェラマリスの設立により、アニマルニュートリション事業部門は健康的で持続可能な動物栄養の総合的かつ革新的なシステムサプライヤーになるための重要な一歩を踏み出しました。この合弁会社は、事業分野のポートフォリオを補い合うだけでなく、精密畜産における本事業部門の活動とともに、アニマルニュートリションのさらなる発展に向けた最も重要な柱の1つとなっています。
ヴェラマリスが生産する藻類油は、エボニックとの提携に際しDSM社が提供した、天然藻類シゾキトリウムに由来するものです。商業生産を目的とする菌株の共同開発やプロセスの共同開発は、新工場の基盤となっています。エボニックは、長年にわたりBiolys®(L-リジンの供給源)生産のための発酵プロセス用のブレアにある既存施設の隣接地に本工場を建設しました。この生産複合施設は、インフラストラクチャー、技術、人材から生まれる多くの相乗効果による恩恵を受けています。さらに、エボニックがネブラスカの拠点で何十年にもわたり培った、大量発酵に関するノウハウもあります。
養殖飼料の成分となる魚油や魚粉の生産用に、毎年1,600万トンもの天然の魚が捕獲されています。エボニックが生産するアミノ酸の添加や飼料に対する現代的な考え方によって動物栄養産業はすでに魚の飼料に使用する魚粉の量を大幅に減らすことに成功しました。そして今回ヴェラマリスが生産を開始した藻類油により、養殖魚のオメガ3脂肪酸含有量に影響を与えずに魚油の使用割合を減らすことが可能となりました。
これは、ヴェラマリスの藻類油が持続可能な水産養殖に役立つだけでなく、食物を通して消費者の健康向上をサポートできることを意味しています。オメガ3脂肪酸のEPAとDHAは、脳、心臓、目の健康に効果がある必須脂肪酸で、人間はそれを含む食品からしか摂取することができないのです。
(本プレスリリースは2019年7月10日にドイツで発表されたものを翻訳しています)
エボニック インダストリーズについて
エボニックはスペシャルティケミカルの世界的リーダーの1つです。専門性の高いビジネス、顧客中心の革新的な技術力、信頼できるパフォーマンス志向の企業文化は、エボニックの企業戦略の根幹であり、収益性の高い成長と持続的な企業価値向上に貢献します。エボニックが優位性を誇るマーケットから企業利益の多くはもたらされています。100カ国以上で事業を展開し、2018年度の従業員が32,000人を超える継続事業の売上高は133億ユーロ、EBITDA(金利・税金・償却前利益)は21.5億ユーロを計上しました。
免責事項
このプレスリリースに記載されている見通しや期待、または将来の予測に関する記述は、既知または未知のリスクと不確実性を含む可能性があります。実際の結果や発展は事業環境の変化により異なる場合があります。エボニック インダストリーズ AGはこのリリースに含まれる見通し、期待、記述に関して、更新の義務を負いません。