2023年度第3四半期業績発表
エボニック、厳しい環境下で、第3四半期の業績は第2四半期を上回る
エボニック インダストリーズ(本社:ドイツ、エッセン 以下「エボニック」)は、2023年度第3四半期の業績を発表しました。調整後EBITDA(支払利息・税金・減価償却費控除前利益)は、厳格なコスト管理の効果もあり、第2四半期比8%増の4.85億ユーロとなりました。需要低迷が続いたため、前年同期比では21%の減少となりました。
- 第3四半期の調整後EBITDAは4.85億ユーロで第2四半期を8%上回る
- コスト削減策が営業利益とフリーキャッシュフローを支える
- テクノロジー&インフラストラクチャー部門を分割し、管理部門の合理化を図る
取締役会長クリスチャン・クルマン(Christian Kullmann)は、「景気回復にはまだ時間を要するため、私たちは自社で自由に使える手段を重点的に実施しており、その効果は徐々に見え始めています」と述べています。
第3四半期のグループ売上高は23%減の37.7億ユーロでした。販売数量は5%減少、価格は6%下落しました。メチオニンの価格は第3四半期に底を打ち、その後わずかに改善しました。また、アニマルニュートリション部の継続的な変革プログラムにより、コスト削減効果も出始めました。
第3四半期のフリーキャッシュフローは、慎重な運転資本管理と投資規律により、前年同期比63%増の4.69億ユーロとなりました。調整後EBITDAは大幅に減少したものの、1~9月期のキャッシュ創出も前年を上回りました。キャッシュ・コンバージョン・レートについては、今年度中に目標の40%(2022年は32%)に引き上げる方針を堅持しています。
最高財務責任者(CFO)のマイケ・シュー(Maike Schuh)は、「キャッシュ確保に重点を置いていることが功を奏しています。第4四半期もこの恩恵を受けることになるでしょう。財政基盤の強化に向けて、来年も投資をはじめとする支出を厳しく精査していきます」と述べています。
エボニックは2022年後半から、欠員補充を行わない、外部サービス業者を利用しない、出張を減らすなど、収益確保のための施策を実施してきました。9月30日時点で、すでに約1.75億ユーロのコストを削減しており、これは2023年の目標額2.5億ユーロの7割に相当します。グループの固定費は前年度を明らかに下回っており、2024年度もこの措置を継続する予定です。
第3四半期の純損失は9,600万ユーロとなりましたが、これは業績悪化、売却および減損損失に伴う費用によるものです。エボニックは、計画していた高吸収性樹脂事業の売却により、2.33億ユーロの減損損失を計上しました。2022年第3四半期は2.14億ユーロの純利益を計上しています。
9月には、企業戦略の見直しを行いました。具体的には、2つの主要部門を戦略的に再編成し、3つの成長部門の事業に資源をより集中的に投入できるようにします。またテクノロジー&インフラストラクチャー部門の分割を行っており、将来的に、テクノロジー部門は地理的な場所に関係なく、グローバルな規模で技術力を統合し、その恩恵を享受できるようにします。インフラストラクチャー部門が運営するドイツのマールとヴェッセリング、ベルギーのアントワープにあるケミカルパークは法的に独立した法人とする予定です。これにより、資金調達の選択肢を増やし、各拠点のインフラの質を維持できるようにします。
「エボニック・テーラーメイド」を通じて、複雑さが軽減され、責任が明確になります。このプログラムにより、エボニック固有のニーズに合わせた管理体制を構築することができます。新しい組織設計により、迅速な意思決定や効率的なプロセスが可能になり、管理の階層をなくすことで、コスト効率も向上します。
エボニックは引き続き持続可能な社会に貢献する製品に投資していきます。9月には、オーストリアのシェルフリングにける生産能力の増強を発表しました。この拠点で製造されるメンブレン(分離膜)は、混合ガスからバイオガスや水素を効率的に分離することができます。
年内は需要の回復が見込めず、低迷が続くと想定しており、8月に発表した見通しは据え置きになっています。2023年通期の調整後EBITDAは16億ユーロから18億ユーロ、売上高は140億から160億の範囲を見込んでいます。今年度の資本支出は約8.5億ユーロに抑える方針です。
事業部門ごとの業績
スペシャルティアディティブス:
第3四半期の売上高は、21%減の8.82億ユーロとなりました。この減少は、販売数量の落ち込み、為替のマイナス影響、販売価格の下落に起因しています。前年の数値には、2022年末に売却したTAA誘導体事業の売上高も含まれています。建設・コーティング業界向けの製品は、全地域で需要が減退し、販売価格もわずかに下落したため、大幅な減収となりました。ポリウレタンフォーム用添加剤および耐久消費財用の添加剤も、販売数量の減少と販売価格の下落により減収となりました。自動車用添加剤は販売数量が減少した一方、販売価格は原料コスト低下の転嫁により微減となりました。調整後EBITDAは前年同期を29%下回る1.73億ユーロ、調整後EBITDAマージンは前年同期の21.8%から19.6%に低下しました。
ニュートリション&ケア:
第3四半期の売上高は、需要の増加にもかかわらず13%減の9.24億ユーロとなりました。これは、販売価格が前年同期を下回ったことと為替のマイナス影響によるものです。必須アミノ酸事業(アニマルニュートリション部)の需要は増加したものの、販売価格が前年同期を大幅に下回ったため、売上高は減少しました。ヘルスケア業界向けの製品(ヘルスケア部)は全般的に需要が好調で、販売価格も上昇しましたが、売上高は主に為替の影響により減少しました。調整後EBITDAは前年同期の水準を14%下回りました。調整後EBITDAマージンは前年同期の13.9%から13.7%にわずかに下回りました。
スマートマテリアルズ:
第3四半期の売上高は19%減の11億ユーロとなりました。この減少は、販売数量の減少、為替によるマイナス影響、原料コスト低下により販売価格が下落したことに起因するものです。無機製品は需要減退により大幅な減収となりました。販売価格の引き下げは、原材料費の低下を反映しています。ポリマー事業では、高機能ポリマー事業が、ポリアミド12の2つの生産拠点で第2四半期にメンテナンス作業を終え、稼働を再開したことによる恩恵を享受しました。売上高は前年同期とほぼ同水準でした。調整後EBITDAは28%減の1.35億ユーロとなりました。販売数量と価格の低下が主な要因でしたが、変動費の減少により一部相殺されました。調整後EBITDAマージンは前年同期の13.8%から12.3%に減少しました。
パフォーマンスマテリアルズ:
第3四半期の売上高は23%減の6.16億ユーロでした。販売数量と価格の低下、および為替のマイナス影響がその要因となっています。前年同期の売上には、2023年6月30日付で売却されたリュルスドルフの拠点の売上が含まれています。C4チェーン製品(パフォーマンス中間体)の事業は、数量面では安定した需要がみられましたが、価格の下落が顕著であったため減収となりました。高吸水性樹脂の売上高も欧州の需要減により前年を下回りました。調整後EBITDAは46%減の3,400万ユーロとなりました。調整後EBITDAマージンは前年同期の7.9%から5.5%に減少しました。
(本プレスリリースは、2023年11月 7日付で本社から発行されたプレスリリースを翻訳しています。)
エボニック インダストリーズについて
エボニックは、100ヵ国以上で事業を展開するスペシャルティケミカルの世界的リーダーの1つです。2022年度は、185億ユーロの売上、24.9億ユーロの営業利益(調整後EBITDA)を計上しました。 革新的で収益性の高い持続可能なソリューションをお客様に提案するために、私たちは化学のその先を目指します。「毎日の暮らしを豊かに」という同じ目的のもと、34,000人以上の社員が働いています。
アジア・パシフィック・リージョンについて
エボニックは、世界経済を牽引し、イノベーションの宝庫であるアジア・パシフィック・リージョンで更なるビジネスの成長を目指しています。2022年度は、37.8億ユーロの売上を計上し、50以上の製造拠点で5,200人以上の社員が働いています。
免責事項
このプレスリリースに記載されている見通しや期待、または将来の予測に関する記述は、既知または未知のリスクと不確実性を含む可能性があります。実際の結果や発展は事業環境の変化により異なる場合があります。エボニック インダストリーズ AGはこのリリースに含まれる見通し、期待、記述に関して、更新の義務を負いません。