エボニック、軽量e-モビリティ向けに新たな高電圧バッテリーハウジングをパートナー企業らと共同開発
エボニック インダストリーズ（本社：ドイツ、エッセン）は、企業コンソーシアムの一員として、e-モビリティ向けにより軽量で高いコスト効率のバッテリーコンセプトを開発しました。自動車業界に、重い金属や高価な炭素繊維強化プラスチックに代わる、安全でエネルギー効率の高い軽量素材を提供します。
- 新しいSMC材料は、強度と高電圧性能を維持しながら、バッテリーハウジングの重量を約10％削減
- 軽量のバッテリーコンポーネントは、省エネを実現し、あらゆる車両サイズとクラスに対応
- エボニックの新しいエポキシSMC硬化剤VESTALITE® Sが、軽量設計および複雑形状部品の加工性を向上
すでに何百万台もの電気自動車やプラグインハイブリッド車が世界中で走行していますが、部品に関する一般的に適用可能な規格はまだ存在しません。現在、個々の車両組立部品を標準化し、市場横断的な部品規格の確立に向け、多くの取り組みが行われています。
バッテリーの蓄電能力を向上させ、効率的なエネルギー回収を行うことで車両の走行距離を伸ばすことは、主な焦点のひとつとなっています。また車両の個々の構成部品を軽量化することで、走行抵抗（タイヤの転がり、勾配、加速度など）の克服に必要なエネルギー量を低減させることもできます。
エボニック、フォワードエンジニアリング（Forward Engineering）、ライオン・スマート（LION Smart）、ロレンツ・クンストシュトフテクニック（Lorenz Kunststofftechnik）、ベスタロ（Vestaro、エボニックとフォワードエンジニアリングの合弁会社）は、2019年末にマルチマテリアルアプローチに関する共同開発を開始しました。その結果、このパートナーシップを通じ、ブランドに依存しない費用対効果の高いソリューションが開発され、機械的特性を損なうことなく、一般的なビニエステルを用いたSMCと他の材料の組み合わせと比較して、バッテリーハウジングの重量を約10％削減することに成功しました。
新しいバッテリーコンセプトは、様々なサイズや車種に対応できるように65kWh、85kWh、120kWhの3種類のバッテリーサイズで開発されました。このコンセプトの要となるのは、グラスファイバー（GF）シートモールディングコンパウンド（SMC）のカバーです。エボニックの高性能エポキシ硬化剤VESTALITE® Sをベースにした新しいSMCは、従来の金属ベースのバッテリー・エンクロージャと同等の機械的特性を実現すると同時に、高コストの既存SMC材料よりも大幅に軽量化されています。
エボニック オペレーションズGmbH（Evonik Operations GmbH）の複合材料および接着剤のマーケティング責任者兼ベスタロGmbHのマネージング・ディレクターを務めるライフ・イッカート（Leif Ickert）は、「バッテリーモジュールとバッテリーハウジングは、現代の電気自動車の性能、効率、価格を改善するにあたり重要な領域となっています。複合材料技術は強度と汎用性を備えているため、今後のバッテリーシステムのコンセプトにとって、非常に有望なソリューションとなります。当社の新しいグラスファイバー強化SMCを使用することで、自動車業界が次世代の持続可能なe-モビリティコンセプトを推進するために不可欠な性能と経済的メリットを生み出すことができます。」とコメントしています。
グラスファイバー強化エポキシSMCは、曲げ強度や衝撃強度などの機械的特性に優れており、通常のポリエステル樹脂の代わりにエポキシ樹脂を使用することで、工程中のVOC排出量の低減に寄与します。また、難燃性に関する標準的な仕様を満たし、複雑な形状が要求される場合でも容易に加工することができます。この包括的なコンセプトは、過酷な条件下における連続生産の適合性と安全性のテストにも成功しています。
新しいバッテリーハウジングのコンセプトに関する詳細情報、画像、コンソーシアムパートナーの文献を更にご覧になりたい方は、evonik.com/vestalite-sをご参照ください。エボニックの新しいエポキシ硬化剤VESTALITE® Sの詳細については、www.vestalite.com をご覧ください。
（本プレスリリースは、2021年2月1日にドイツで発表されたものを翻訳しています。）
エボニック インダストリーズについて
エボニックは、100ヵ国以上で事業を展開するスペシャルティケミカルの世界的リーダーの1つです。2019年度は、131億ユーロの売上、21.5億ユーロの営業利益（調整後EBITDA）を計上しました。革新的で収益性の高い持続可能なソリューションをお客様に提案するために、私たちは化学のその先を目指します。「毎日の暮らしを豊かに」という同じ目的のもと、32,000人以上の社員が働いています。
アジア・パシフィック・リージョンについて
エボニックは、世界経済を牽引し、イノベーションの宝庫であるアジア・パシフィック・リージョンで更なるビジネスの成長を目指しています。2019年度は、28.7億ユーロの売上を計上し、50以上の製造拠点で5,000人以上の社員が働いています。
クロスリンカー部について
クロスリンカーは、コーティングおよび接着剤、および高性能エラストマーおよび複合材料のための幅広い製品を提供しています。イソホロン化学に基づく製品のほかに、ポートフォリオには、熱硬化アプリケーションのためのアミン硬化剤が含まれています。製品は、主に機械的強度、耐久性、耐薬品性、優れた接着特性により、産業用途に使用されています。
参考情報：
VESTARO GmbHについて
エンジニアリングとスペシャルティケミカルの専門知識を束ね、VESTAROはエボニックとフォワードエンジニアリングの合弁会社として2017年に設立されました。ミュンヘンに拠点を置く同社は、自動車メーカーに複合マトリックスシステムとコンサルティングサービスをサポートし、効率的な製造プロセスと軽量な自動車建設を支援しています。
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