Press release
Health Care
June 16, 2022

米国政府と共同で2.2億ドルを投資

エボニック、mRNA治療薬用脂質の製造設備をアメリカに新設

エボニック インダストリーズ(本社:ドイツ、エッセン)は、医療用特殊脂質を迅速かつ柔軟に生産できる多目的生産設備を米・インディアナ州ラファイエットのティピカヌーに建設します。新型コロナウイルスワクチンに続く新たなmRNAベースの治療薬が今後成長していく中で、エボニックグループが幅広く対応できる体制を整え、グローバルかつ革新的な製薬企業の戦略パートナーとしてのポジションを強化します。着工は2023年初頭、操業開始は2025年を予定しています。本投資により、ラファイエット地区に80人以上の高度な技術をもつ人材の雇用創出が見込まれています。

新型コロナウイルスワクチンに続く新たなmRNAベースの治療薬が今後成長していく中で、エボニックグループが幅広く対応できる体制を整え、グローバルかつ革新的な製薬企業の戦略パートナーとしてのポジションを強化します。着工は2023年初頭、操業開始は2025年を予定しています。本投資により、ラファイエット地区に80人以上の高度な技術をもつ人材の雇用創出が見込まれています。

 

投資総額は2.2億ドルにのぼり、米国政府は、米国保健福祉省の事前準備・対応担当次官補局(ASPR)の一部局であるアメリカ生物医学先端研究開発局(BARDA)を通じて、最大1.5億ドルの資金を提供します。BARDAは、21世紀の公衆衛生上の危機に対応する医療対策の高度な開発を推進し、米国防総省(DOD)の化学・生物・放射性物質・核防衛統合計画事務局(JPEO-CBRND)の支援を受けて、契約調整を行っています。また、インディアナ州経済開発公社(IEDC)、グレーター・ラファイエット・コマース(GLC)、デューク・エナジー社からも支援を受ける予定です。


エボニックのヘルスケア事業は、mRNAベースの医薬品向けの製品や技術を提供するリーディングカンパニーとして、統合的なサービスを提供しています。エボニックは、mRNA(メッセンジャー・リボ核酸)の有効成分の使用に必要な特殊脂質を、世界中の大手製薬会社に供給してきました。脂質は、核酸治療薬の製剤において極めて重要な成分です。


コロナウイルスのパンデミックが発生した際、エボニックはファイザー(Pfizer)/ビオンテック(BioNTech)社の新型コロナウイルスワクチンに使用する特殊脂質を提供し、世界的なワクチン接種キャンペーンに多大な貢献をしました。mRNAは細胞内で遺伝情報の担い手として機能し、幅広い薬理学的用途に設計することができます。例えば、mRNAワクチンは、免疫反応を引き起こすタンパク質を作る方法を細胞に伝えます。

 

エボニックの取締役会長クリスチャン・クルマン(Christian Kullmann)は、「脂質の製造に投資することで、当社は世界市場におけるリーディングカンパニーとしてのポジションをさらに拡大し、特にヘルスケア事業を強化します。この投資は、"次世代のエボニック"への戦略的変革をサポートし、優れた環境および社会経済特性を持つ付加価値の高いソリューションをお客様に提供します」と述べています。

 

インフラや高度な技術を持つ人材、そして、すぐに活用できる多様な技術があるティピカヌーの拠点は、本プロジェクトに相応しい場所です。世界最大級の医薬品原薬(API)受託製造施設であり、約650人の従業員が働き、アメリカで第2の規模を誇る拠点となっています。エボニックはAPI受託製造のリーディングカンパニーであり、高薬理活性原薬や複数の合成工程が必要な複雑な化学に基づくAPIの大規模製造に注力しています。

 

化学・生物・放射性物質・核(CBRN)防衛統合計画事務局(JPEO)副局長のニコル・キルゴア(Nicole Kilgore)は、「米国政府は、mRNAワクチン原料の生産拡大に向けた産業基盤拡大の取り組みに参加できることを喜ばしく思っています」と述べています。

 

グレーター・ラファイエット・コマースのプレジデント兼CEOを務めるスコット・ウォーカー(Scott Walker)は、「エボニックがティピカヌーで展開する戦略的拡張は、グレーター・ラファイエット地域全体にとって素晴らしいニュースです。シェードランド・タウン、ラファイエット、ウェストラファイエット、ティピカヌー・カウンティ、パデュー研究財団、グレーター・ラファイエット・コマースは、このプロジェクトを支援し、価値の高い雇用の創出だけでなく、新たなリピッド・センター・オブ・エクセレンス(脂質の中核的研究拠点)が、わが国のワクチン対策において重要な役割を果たすことを期待しています」と述べています。

 

エボニックは、特殊脂質の生産を拡大することで、ニュートリション&ケア部門の高度なドラッグデリバリー向けシステムソリューションの製品群を強化します。同部門は、2030年までにシステムソリューションが売上に占める割合を、現在の20%から50%以上に引き上げる予定です。

 

ヘルスケア部責任者トーマス・リアマイアー(Thomas Riermeier)は、「製薬会社やバイオテクノロジー企業の戦略的パートナーとして、私たちはこの新たな工場で、お客様の核酸ベースの医薬品の開発から商品化までをサポートしていきます。これらの新しい治療法は未来につながるものです。また、処方サービスやスケールアップ能力のさらなる拡大を検討しており、そうすることで、エンドツーエンドのプロバイダーとしてのリーディングポジションを確固たるものにしていきます」と述べています。医薬品製剤は、原薬と他のすべての成分を混合する多段階の工程を意味します。

 

この新しい多目的生産設備では、感染症対策、がん免疫療法、タンパク製剤の補給、遺伝子治療など、mRNA技術の将来の応用に役立つ各種脂質の迅速かつ柔軟な生産が可能になります。さらに、今後新たにパンデミックが発生した際に、必要に応じて、脂質を迅速かつ広範囲に供給することも可能になります。

 

生細胞のビルディングブロックを構成する分子である脂質は、mRNAベースの医薬品を製造する上で非常に重要な役割を担っています。mRNAは、特定の脂質で構成された脂質ナノ粒子(LNP: Lipid Nanoparticle)に封入されます。LNPはmRNAを保護し、安全に細胞内に送り込み、そこでmRNAを放出させます。LNPは現在最も先進的なドラッグデリバリーシステムであり、その汎用性から新型コロナウイルスとの闘いにおいて世界中で利用されています。

 

エボニックは、遺伝子ベースの治療法の可能性を早い段階から認識し、2016年にカナダのトランスフェラー・ナノサイエンス社(Transferra Nanosciences)を買収し、この技術に的を絞った投資を行いました。この買収したバンクーバーの研究所は、LNPやリポソームを含む脂質ベースの非経口薬の製剤開発を重点的に行っています。また2020年には、製薬業界向けの植物由来の添加剤メーカーであるアメリカのウィルシャー・テクノロジー社(Wilshire Technologies)を買収し、製品群を拡大しました。添加剤は非薬学的活性成分であり、脂質の場合と同様に、APIが体内で特定の場所に到達するのを助ける重要な役割を果たすことができます。

 

エボニックは製薬業界のパートナーとして、数十年にわたり先進的なドラッグデリバリーの分野でリーダー的な存在となっています。複雑な非経口薬や経口薬の開発・製造のための包括的なサービスで、世界中の製薬会社をサポートしています。

 

(本プレスリリースは、2022年6月 2日付で本社から発行されたプレスリリースを翻訳しています。)

エボニック インダストリーズについて

エボニックは、100ヵ国以上で事業を展開するスペシャルティケミカルの世界的リーダーの1つです。2021年度は、150億ユーロの売上、23.8億ユーロの営業利益(調整後EBITDA)を計上しました。 革新的で収益性の高い持続可能なソリューションをお客様に提案するために、私たちは化学のその先を目指します。「毎日の暮らしを豊かに」という同じ目的のもと、33,000人以上の社員が働いています。

アジア・パシフィック・リージョンについて

エボニックは、世界経済を牽引し、イノベーションの宝庫であるアジア・パシフィック・リージョンで更なるビジネスの成長を目指しています。2021年度は、34.1億ユーロの売上を計上し、50以上の製造拠点で5,000人以上の社員が働いています。

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