エボニック、スタンフォード大学と共同研究を開始 ~mRNAと遺伝子治療のための新たなDDSプラットフォームを開発・上市予定~
エボニック インダストリーズ(本社:ドイツ、エッセン)は、スタンフォード大学と共同で、脂質ナノ粒子(LNP: Lipid Nanoparticle)の能力を最大限に生かし、生体組織や臓器にmRNAを送達する技術を開発しています。 このポリマーベースのプラットフォームは、LNPを含むエボニックの脂質に基づくドラッグデリバリーシステム(DDS:Drug Delivery System)の既存製品群を強化するものです。エボニックとスタンフォード大学の研究者は、ポリマーベースのDDSを開発するための3年間の委託研究を6月から開始し、エボニックは これをライセンス化および商業化する予定です。
- 標的mRNA輸送のためのポリマーベースのドラッグデリバリーシステム(DDS:Drug Delivery System)
- スタンフォード大学が開発したプラットフォームがmRNA治療薬の使用 範囲を拡大
- 最先端のDDSソリューションパートナーとしてエボニックの製品群を強化
エボニック ヘルスケア部が提供する新たなDDSは、ライフサイエンスを担うニュートリション&ケア部門のシステムソリューションへのポートフォリオ転換を加速させます。高い成長性と利益率を特徴とするニュートリション&ケア部門は、提供するシステムソリューションのシェアを、2030年までに現在の20%から50%以上に拡大することを目指しています。
ヘルスケア部責任者トーマス・リアマイヤー(Dr. Thomas Riermeier)は、「スタンフォード大学と協力し、最先端のDDSにおける両者の革新的な力を結集できることを誇りに思います。このプロジェクトを通じ、次世代のmRNAをベースとした医療を実現できることを期待しています」とコメントしています。
mRNAを効率よく安全に細胞内まで輸送することは、がん免疫療法、タンパク質置換、遺伝子編集といった有力分野においてmRNA治療薬の利用を拡大するにあたりに不可欠な課題の一つです。エボニックは、最先端のDDSを開発から製造までを一貫して行う主要パートナーとして、製薬業界に有効な解決策を提供できる体制を整えています。現在、エボニックが獲得可能なLNPに基づくDDS市場は、2026年には50億米ドルを超える見込みです。
エボニック ヘルスケア 研究開発&イノベーション部門でバイスプレジデントを務めるステファン・ランドル(Dr. Stefan Randl)は、以下のように述べています。「mRNA治療薬の可能性を最大限に引き出すには、より広範囲の生体組織や臓器を標的とするDDSのツールボックスが必要です。そのため、スタンフォード大学と協力し、私どもの高度なDDSに関する専門知識を生かした新たなプラットフォームを商品化できることは、大変喜ばしいことです。」
スタンフォード大学 ロバート・ウェイマウス(Robert Waymouth)教授、ポール・ウェンダー(Paul Wender)教授、ロナルド・レヴィー(Ronald Levy)教授は、CART(Charge Altering Releasable Transporters)と呼ばれる新しいポリマーベースのDDSプラットフォームを開発しています。
スタンフォード大学による協力の下、エボニックは、合成と製剤の規模を拡大し、非動物由来の分解性合成ポリマーに基づく臓器選択的ドラッグデリバリーの革新的な技術のさらなる発展を目指しています。エボニックは、数少ない遺伝子治療に関する開発・製造を一貫して行えるパートナーとして、この技術をGMP*(Good Manufacturing Practice)品質で提供し、臨床段階での開発、そして最終的には商業規模での実用化を目指しています。
エボニックは、医薬品のバリューチェーン全体において、開発・製造パートナーとして主導的な役割を担っています。これには、脂質や特有な脂質等の医薬品添加剤、医薬品製剤の開発、臨床試験用医薬品、市販薬の製造等が含まれます。エボニックのmRNAのDDSプラットフォームは、前述のスタンフォード大学で開発された新しいポリマーに基づくDDSによって強化されます。
この最先端技術が登場した早い段階において、エボニックは、遺伝子ベース治療のアプローチの可能性を認識し、2016年にカナダのトランスフェラー・ナノサイエンス社(Transferra Nanosciences)を買収しました。この買収したバンクーバーの研究所は、脂質ナノ粒子やリポソームを用いた非経口薬の製剤開発を重点的に行っています。
2020年には、製薬業界向け非動物由来の添加剤メーカーである米国のウィルシャー・テクノロジー社(Wilshire Technologies)を買収し、ポートフォリオをさらに拡大しました。これには、多くの上市した非経口医薬品に使用されている非動物由来のコレステロールであるPhytoChol®が含まれます。
*品質の良い優れた医薬品を恒常的に製造するための要件をまとめたもの。日本語では「医薬品の製造管理及び品質管理の基準」と表現されている。(日本医薬原薬工業会HPより抜粋)
(本プレスリリースは、2021年6月10日付でドイツ本社から発行されたプレスリリースを翻訳しています。
エボニック インダストリーズについて
エボニックは、100ヵ国以上で事業を展開するスペシャルティケミカルの世界的リーダーの1つです。2020年度は、122億ユーロの売上、19.1億ユーロの営業利益(調整後EBITDA)を計上しました。 革新的で収益性の高い持続可能なソリューションをお客様に提案するために、私たちは化学のその先を目指します。「毎日の暮らしを豊かに」という同じ目的のもと、33,000人以上の社員が働いています。
アジア・パシフィック・リージョンについて
エボニックは、世界経済を牽引し、イノベーションの宝庫であるアジア・パシフィック・リージョンで更なるビジネスの成長を目指しています。2020年度は、28.4億ユーロの売上を計上し、50以上の製造拠点で5,000人以上の社員が働いています。
ニュートリション&ケア部門について
ニュートリション&ケア部門の事業の焦点は、健康と暮らしの質向上にあります。 医薬品有効成分、医療用機器、ヒトと動物向けの栄養、パーソナルケア、化粧品、家庭用洗浄剤などの差別化されたソリューションを開発しています。 これらの弾力性のある最終市場で、2020年度は29.9億ユーロの売上を計上し、約5,300人の社員が働いています。ニュートリション&ケアは、エボニック オペレーションズGmbHの一部で
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