Press release
Silanes
March 23, 2021

エボニック、リチウムイオン電池用の新高機能材料Siridion®Blackを発表

エボニック インダストリーズ(本社:ドイツ、エッセン)は、リチウムイオン電池用の新たな負極材として、シリコンとカーボンの複合材「Siridion®Black」を発表しました。本製品は、エネルギー密度を高め、急速充電能力とエネルギー効率を向上させ、より強力な電池を実現します。

Siridion® Black: イメージ画像
出典:istock Signature / AsiaVision
Siridion® Black: イメージ画像 出典:istock Signature / AsiaVision
  • 負極用の新たなシリコン‐カーボン複合材料を開発
  • リチウムイオン電池のエネルギー密度と容量を向上
  • 電池材料のあらゆる範囲をカバー

エボニックはこれまで正極活物質とセパレータコーティング用のフュームド金属酸化物を供給していましたが、Siridion®Blackが加わることで電池材料のあらゆる範囲をカバーできるようになりました。その製品特徴からウェアラブルデバイスやモバイル機器メーカーのニーズに対応可能です。

「Siridion®Blackの上市は、当社のポートフォリオの戦略的成長における重要なマイルストーンです。魅力的かつテクノロジー主導の成長市場で当社の製品を強化し、お客様のイノベーションパートナーとしてのポジションを確立します」と、シラン部責任者ペーター・フリーゼンハーン(Peter Friesenhahn)はコメントしています。

電池材料のマーケティングを担当するビョルン・ボーロプ(Dr. Björn Borup)は、次のように述べています。「これまでリチウムイオン電池の負極材としてグラファイトが使用されてきましたが、大容量電池には、より高速充電が可能な新しい材料が必要です。当社のソリューションは、既存の負極材と製造プロセスに添加剤として速やかに組み合わせることができ、他の電池材料との相性も良好です。」

Siridion®Blackは気相合成法によって生成され、数百ナノメートルの大きさの独立した非焼結球状粒子からなる粉末です。粒子は非晶質で、その内部では炭素濃度が内側から外側に向かって高くなるため、優れた安定性が確保されます。「さらに、表面の炭素濃度が高いことから、粒子は酸化しにくく製造プロセスが容易になります」と、本製品の開発および製品化を担当したユリア・リュビナ(Dr. Julia Lyubina)はコメントしています。

エボニックのシリコン-カーボン複合材Siridion® Black :
透過型電子顕微鏡写真(左)、炭素濃度勾配のあるSi/C構造の模式図(右)
エボニックのシリコン-カーボン複合材Siridion® Black : 透過型電子顕微鏡写真(左)、炭素濃度勾配のあるSi/C構造の模式図(右)

この高機能負極材は、エボニックのリサーチ・ディベロップメント&イノベーション部門とシラン部が共同で開発しました。現在は、ドイツ連邦経済エネルギー省が2023年まで助成を行うデュースブルク・エッセン大学との共同プロジェクトとして、リチウムイオン電池のさらなる高機能化に取り組んでいます。

「当社のSiridion®Blackは、オーダーメイドのソリューションを可能にします。従って、負極材メーカーとそのお客様それぞれのニーズに柔軟に合わせた製品づくりができます」と、リュビナ(Lyubina)はコメントしています。自由に設計できるという特徴に対し、特に、ウェアラブルデバイスやモバイル機器のメーカーからの高い評価が期待されます。

本製品の量産化が可能となり、3月19日から21日まで中国の深圳で開催された中国国際電池技術交流会・展示会(China International Battery Fair)で一般公開となりました。

(本プレスリリースは、2021年2月25日にドイツで発表されたものを翻訳しています。)

エボニック インダストリーズについて

エボニックは、100ヵ国以上で事業を展開するスペシャルティケミカルの世界的リーダーの1つです。2020年度は、122億ユーロの売上、19.1億ユーロの営業利益(調整後EBITDA)を計上しました。革新的で収益性の高い持続可能なソリューションをお客様に提案するために、私たちは化学のその先を目指します。「毎日の暮らしを豊かに」という同じ目的のもと、33,000人以上の社員が働いています。

アジア・パシフィック・リージョンについて

エボニックは、世界経済を牽引し、イノベーションの宝庫であるアジア・パシフィック・リージョンで更なるビジネスの成長を目指しています。2020年度は、28.7億ユーロの売上を計上し、50以上の製造拠点で5,000人以上の社員が働いています。

スマートマテリアルズ部門について

スマートマテリアルズ部門は、省資源ソリューションを実現し、従来のものに代わる革新的なマテリアルに関するビジネスで構成されます。環境、エネルギー効率、都市化、モビリティ、健康など、私たちが直面する課題にソリューションを提供します。2020年度は、32億ユーロの売上を計上し、約7,800人の社員が働いています。当部門は、エボニック オペレーションズGmbHの一部です。

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