エボニックの湿式シリカ、ULTRASIL®の70周年 –未来を変える先駆的な開発
- 1951年に発明された湿式シリカは、タイヤ・ゴム業界において欠かせない充填剤に
- 充填剤ULTRASIL® VN 3により、現代の高性能タイヤの開発が可能に
- エボニックは、5年にわたり世界の全地域においてULTRASIL®の生産能力を拡大
エボニックインダストリーズ(本社:ドイツ、エッセン)は、湿式シリカULTRASIL®の開発から70周年を迎えたことをお知らせします。エボニックの先達が発明した充填剤ULTRASIL® VN 3により、これまでの70年間、タイヤや機械用ゴム製品の改良を継続的に行ってくることができました。「この添加剤は、非常に強力なウェットグリップ性能で安全性を高める冬用タイヤや、低い転がり抵抗で燃料消費量を減らしCO2排出量を削減する『グリーンタイヤ』の開発に欠かせない存在です」と、シリカ事業部のシニアバイスプレジデント、クラウディン・モレンコフ(Claudine Mollenkopf)は述べています。
ULTRASIL®誕生70周年を迎えるにあたり、エボニックは記念ウェブサイトを開設し、お客様とビジネスパートナーの皆さまを、過去と未来へのデジタルジャーニーにご招待します。記念サイト(英語)では、湿式シリカの製造における決定的なブレイクスルーを経て、充填剤ブランドがどのように誕生したか、また、このブランドが今では多くのゴム製品に欠かすことのできないものとなったこと、現代のスポーツシューズを軌道に乗せたこと、高性能タイヤの開発にマイルストーンを打ち立てたことなどについて紹介しています。また将来ULTRASIL®が、持続可能なモビリティにどのように重要な貢献をすることができるか、その展望を明らかにしています。
「ホワイトカーボンブラック」の発明
1940年代以降、カーボンブラックに代わるタイヤ用充填剤としてのシリカの研究が進められ、1951年3月にヴェッセリング(ドイツ)で、化学者のハンス・フェアビーク(Dr. Hans Verbeek)(1908 - 1996)と実験助手のピーター・ナウロス(Peter Nauroth)が湿式シリカを発明したことから、サクセスストーリーが始まりました。これが「ホワイトカーボンブラック」の発明でした。
1953年以降、本製品はULTRASIL® VN 3として販売され、すぐに充填剤であるカーボンブラックの代替品となり、着色されたゴムコンパウンドの製造を可能にしました。粒状のULTRASIL® VN 3 GRは、現在でも世界中のタイヤ・ゴム業界で最も広く使用されているシリカです。
タイヤの性能に与えた革命的な影響
1970年代、ULTRASIL®は、カップリング剤としてのシランと組み合わせることで、タイヤ製造に革命をもたらしました。シランを使うことにより、親水性シリカをゴムポリマーに化学結合することができます。エボニックのシリカ/シランシステムは、乗用車用タイヤのトレッド性能、特に湿った路面でのトラクション性能の向上と転がり抵抗の低減に関するベンチマークとなっています。カーボンブラックの代わりにシリカを充填剤として使用することで、燃料消費量を減らし、ひいてはCO2排出量を最大で8%削減することができます。
現在でもエボニックは、持続可能な「グリーンタイヤ」の主要成分であるシリカとシランの両方を製造している世界で唯一のケミカルカンパニーです。これら両製品を継続して開発する専門能力により、シリカとシランは理想的な適合条件で実用化されているのです。
さらなる拠点の開設と生産能力の向上
これまで70年以上にわたり、ULTRASIL®シリーズは成長を続けてきました。エボニックはULTRASIL®ブランドのもと、幅広い用途向けにカスタマイズされた高比表面積から低比表面積まで、高分散性シリカの幅広いポートフォリオを提供しています。
ULTRASIL®は、高性能タイヤの製造に使用され、タイヤ業界で高く評価されています。また、タイミングベルトやコンベヤーベルト、シールなどの高機能を必要とする工業用ゴム製品や、靴底や自転車のタイヤなどの日常生活用品の補強用充填剤としても使用されています。
ULTRASIL®は現在、3つの大陸の10拠点で生産されており、世界各地でお客様に密着したグローバルな生産プラットフォームを提供しています。70年前に先述のハンス・フェアビークとピーター・ナウロスがULTRASIL® VN 3を発明したヴェッセリングは、現在では世界最大級の湿式シリカの生産拠点となっています。エボニックはこれまでの5年間で、世界の全地域においてULTRASIL®の生産能力を拡大してきました。
この間、シリカの専門家は、タイヤ・ゴム産業の技術的進歩と将来の課題に対応しさらに革新的なULTRASIL®グレードを開発してきました。
新たに開発されたULTRASIL® 4000 GRは、世界初の高分散性を備えた低比表面積シリカ(LSAシリカ)です。独自の製品設計により、充填レベルを大幅に向上させることが可能となり、例えばウェット路面、ぬかるみ、雪道などにおいて、より優れた走行性能を発揮するスタッドレスタイヤを生産することができます。
今後の課題に向けて
ラバーシリカのシニアバイスプレジデントを務めるベルンハルト・シェーファー(Bernhard Schäfer)は、「シリカ充填剤の使用量は今後も増え続けるでしょう。タイヤメーカー各社は最高の評価獲得に注力しており、2021年5月に始まったEUの新しいラベリング制度が、競争を促進しています。さらにEU以外の国もすぐに追随するでしょう」と予測しています。
転がり抵抗の低いタイヤは、電気自動車の航続距離を延ばすことができるため、今後の持続可能なモビリティにとって、さらに重要性が増すと考えられています。「ULTRASIL®充填剤とSi 363™シランを組み合わせることで、転がり抵抗を最大35%低減し、ウェットグリップ性能を大幅に向上させると同時に、良好な摩耗値も維持できます」と、タイヤ&ラバー、グローバル応用技術のバイスプレジデント、ローランド・クラフチック(Roland Krafczyk)は述べています。
今後、エボニックが取り組む開発において、サステナビリティは重要な役割を果たします。目標の一つとして、タイヤの耐摩耗性を向上させることで、タイヤの寿命を延ばし、貴重な資源を守ることを目指しています。さらに、エボニックでは、自社製品のカーボンフットプリントをさらに削減するために、代替可能で持続可能な原材料とグリーンエネルギー源の組み合わせについて評価を行っています。
このように、ULTRASIL®は、無限の可能性を秘めています。エボニックのシリカ事業部門は、タイヤ開発の次のマイルストーンに向けて、さらに革新的なシリカ/シラン製品の研究に取り組んでいます。これらはすべて「私たちは、どんなことがあっても、自社の製品でお客様を走らせ続ける」という当社が唱える精神に基づいています。
(本プレスリリースは、2021年9月30日にドイツで発表されたものを翻訳しています。)
エボニック インダストリーズについて
エボニックは、100ヵ国以上で事業を展開するスペシャルティケミカルの世界的リーダーの1つです。2020年度は、122億ユーロの売上、19.1億ユーロの営業利益(調整後EBITDA)を計上しました。革新的で収益性の高い持続可能なソリューションをお客様に提案するために、私たちは化学のその先を目指します。「毎日の暮らしを豊かに」という同じ目的のもと、33,000人以上の社員が働いています。
アジア・パシフィック・リージョンについて
エボニックは、世界経済を牽引し、イノベーションの宝庫であるアジア・パシフィック・リージョンで更なるビジネスの成長を目指しています。2020年度は、28.4億ユーロの売上を計上し、50以上の製造拠点で5,000人以上の社員が働いています。
スマートマテリアルズ部門について
マートマテリアルズ部門は、省資源ソリューションを実現し、従来のものに代わる革新的なマテリアルに関するビジネスで構成されます。環境、エネルギー効率、都市化、モビリティ、健康など、私たちが直面する課題にソリューションを提供します。2020年度は、32億ユーロの売上を計上し、約7,900人の社員が働いています。当部門は、エボニック オペレーションズGmbHの一部です。
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